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センターのコストを削減し
エンドユーザーの
CXを向上させる
新しい仕組み

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.11

予約型コンタクトセンター [後編]

質問などがある人が、ウェブサイトでコールバックの予約をし、オペレーターからの電話を待つ──。それが〈予約型コンタクトセンター〉です。この新しい仕組みを導入することによって、どのような成果が生まれたのでしょうか。日本では前例の少ないこの取り組みがもたらした価値と、コンタクトセンターの今後のあり方について、引き続き村田哲治と近藤雄介に語ってもらいました。

STAFF PROFILE
村田 哲治

村田 哲治

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第三サービス本部 二部 OP課 マネージャー

STAFF PROFILE
近藤 雄介

近藤 雄介

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第三サービス本部 二部 OP課 マネージャー

オペレーター席数の
大幅削減に成功

現在お二人が担当されている案件における〈予約型コンタクトセンター〉の取り組みについて、具体的にご説明ください。

村田国による企業サポート事業のコンタクトセンターを2021年から担当させていただいています。その運営コストを削減したいというご要望を受けて導入したのが〈予約型コンタクトセンター〉です。ウェブ予約の仕組みは、外部のベンダーのサービスを利用しています。

近藤当初は、これまでのインバウンドの仕組みを残し、オペレーターが電話に出られない場合のみ〈予約型コンタクトセンター〉窓口をお知らせするというハイブリッド型の運用をご提案しました。しかし最終的に、〈予約型コンタクトセンター〉に全面的に移行することで、コスト削減効果を最大化しようということになりました。

新しい仕組みを導入するにあたって、どのようなご苦労がありましたか。

村田申し上げたとおり、予約システムは既存のサービスを利用しているので、システム構築などの苦労はありませんでした。ただし、予約画面のレイアウトなどは独自にカスタマイズする仕様になっているため、社内の開発部門のメンバーの協力を得て、この案件に最適な画面づくりを行いました。

一方、システム側から送られてくる予約データに関しては、当初は手作業で各センターのオペレーターに分配していました。このやり方だと効率が悪く、ミスが発生するリスクがあります。そこで、〈Contact-Link〉というプラットフォームを活用して自動化を進めました。

近藤〈Contact-Link〉は、コンタクトセンター現場のデータを一元管理するために開発したトランスコスモスの独自プラットフォームです。これに予約データを入れ、そこから電話発信やログの記録ができる仕組みを構築しました。

〈予約型コンタクトセンター〉導入の成果についてお聞かせください。

村田新しい仕組みの導入以前は、トランスコスモスのセンター5拠点、オペレーターの席数は260席で運用していました。〈予約型コンタクトセンター〉導入によって、センターは3拠点、席数は100席まで縮小し、運用コストを大幅に削減することができました。それが最大の成果です。もちろんそれによって応対品質が下がるといったことは一切ありませんでした。

また、コンタクトセンターのパフォーマンスを示す数値に応答率がありますが、これは事実上100%となっています。予約をしてもコールバックの電話に出られない方が一定数いますが、それを除けば、すべての質問者への対応が可能になっているということです。それ以前から97%から98%という高い応答率をキープしていましたが、その数字がさらに向上したわけです。

もう1つ、副次的な成果として挙げられるのが、問い合わせ件数自体が減ったことです。〈予約型コンタクトセンター〉導入以前の3カ月間の1日当たりの問い合わせ件数は、平均940件でした。導入後は平均410件と、半分以下になっています。

空いた時間を研修に充て応対品質を向上させる

「予約をする」というアクションが、一種のフィルタリング効果を生み出しているわけですね。先ほど、〈予約型コンタクトセンター〉導入によって、現場のオペレーターは自分の業務をコントロールしやすくなるというお話がありました。そういった成果も出ていますか。

近藤確実に出ていますね。業務計画が立てやすくなっただけでなく、勤務中の空き時間が増えました。現在は、そのような時間を研修に充てています。この案件の事業内容を繰り返し学習し、知識を深めることによって、応対品質のさらなる向上が期待でき、一件あたりの通話時間も短縮できる。そう考えています。

予約をされた方々のCX(顧客体験)はどのように変化していますか。

村田予約しておけば確実に質問ができるという点では、間違いなくCXは上がっていると思います。一方、ウェブサイトにアクセスして予約をするという行為を煩わしいと感じる方や、電話がかかってくるのを待たなければならない点に不満を感じている方も多少はいると思います。これは先にお話ししたように、〈予約型コンタクトセンター〉のデメリットとして想定されていたものです。

近藤ウェブサイトにアクセスして予約するというアクション自体を簡略化することはできませんが、予約枠の時間幅を小さくして、待ち時間を短くすることは可能だと思います。現在は、1つの予約枠は2時間になっています。これを1時間、あるいは30分にすれば、それほど待たずにコールバックを受けられるようになります。今後、そういった改善も検討してきたいと考えています。

お客様の公共機関からはどう評価されていますか。

村田短期間でほぼトラブルなしで新しい仕組みに移行できたこと、コスト削減という課題を確実にクリアできたこと。その2点について、大きな評価をいただいています。

近藤〈予約型コンタクトセンター〉は、まだ民間企業の導入例が少ない先進的な仕組みです。公共センターが、民間に先んじてそのような仕組みの導入にチャレンジして成功した点も、大きな成果と捉えていただいていると感じています。

コンタクトセンターサービス
の新しい付加価値

この案件におけるこれからの見通しをお聞かせください。

村田繁閑差が大きい業務なので、今後、繁忙期に席数を増やさなければならなくなる可能性があります。そういった動きに対応できる体制を整えていきたいと考えています。具体的には、オペレーターが短期間で業務知識や必要なスキルを身につけることができる研修の仕組みづくりなどを構想しています。

近藤オペレーターが、空いた時間をどれだけ有効に使えるか。それが現場の課題だと思っています。業務負荷を増やすことなく、時間を上手に使ってマルチタスクをこなすなど、これまで以上に生産性を上げていくことが大きな目標です。

この取り組みによって新たに得られたノウハウなどはありますか。

村田既存の業務を継続しながら、まったく新しい仕組みを短い時間で導入できたことが、この取り組みの大きな意義だったと思います。私たちとしても初めてのチャレンジでしたが、ほぼ当初の計画どおりに作業を進めることができました。今後、このノウハウをほかのケースにもいかしていけると考えています。

トランスコスモスが提供するコンタクトセンターサービスに新しい付加価値が生まれたと言えそうですね。

近藤そう思います。コンタクトセンターを活用している企業や公共機関の皆さんの多くは、「エンドユーザーとのコミュニケーションはインバウンドで行うもの」と考えていらっしゃると思います。そういった方々に、〈予約型コンタクトセンター〉という仕組みがあること、それによってコスト削減やCX向上が実現できることを広くお伝えしていきたいですね。

村田〈予約型コンタクトセンター〉のサービスを本格的に提供しているコンタクトセンターベンダーは、日本では今のところトランスコスモスだけだと思います。多くのお客様企業や公共団体にこのサービスをご利用いただくことで、私たちの経験値も向上し、サービスをさらにブラッシュアップしていくことができる。そんなふうに考えています。

多様なコミュニケーションを
実現するためのサービス

〈予約型コンタクトセンター〉が標準的なサービスになることによって、コンタクトセンターの機能や役割はどう変化していくと考えられますか。

近藤これまでインバウンドが主流であったコンタクトセンターに〈予約型コンタクトセンター〉の仕組みが加わることで、より多様なコミュニケーションが実現すると私は考えています。近年、若年層のエンドユーザーは、電話ではなくメールやチャットといった「ノンボイス」でのコミュニケーションを求める傾向があります。一方、電話での直接的な対話を求めるエンドユーザーも依然少なくありません。〈予約型コンタクトセンター〉の仕組みを導入することは、「電話での直接的な対話」というコミュニケーションに、アウトバウンドという新しい選択肢が加わることを意味します。従来のインバウンドコールとノンボイスにアウトバウンドコールという方法が追加されることによって、エンドユーザーの多様なニーズに今まで以上に応えられるようになる。それが大きな変化だと思います。

村田〈以前は「コンタクトセンターはコストセンターである」と考えられていました。現在でもそのような見方はあるものの、「積極的にコンタクトセンターを活用して、価値を生み出していこう」と考える企業や公共団体が増えているという実感があります。エンドユーザーの声を直接聞いて、それを製品やサービスの開発にいかしたり、企業活動の改善のヒントにしたりすることができるのがコンタクトセンターの本来の機能です。〈予約型コンタクトセンター〉という新しい仕組みを導入することによって、これまでコミュニケーションがとれなかったエンドユーザーとの接点が生まれ、より多くの貴重な声を得ることができるようになると私は考えています。

今後、お客様企業や公共団体をどのように支援していきたいと考えていますか。

近藤コンタクトセンターに勤務するようになったときに私が考えていたのは「お客様企業や公共団体のパートナーとなって、一緒によいものをつくり上げていきたい」ということでした。その思いは今も変わりません。単なる「御用聞き」ではなく、本当の意味でお客様企業や公共団体の皆さまの立場に立って、私たちに求められるものを実現していく──。そんなマインドをこれからも大切にしていきたいと思っています。

村田20年以上コンタクトセンター業務に携わってきて、さまざまなノウハウやスキルを身につけることができました。〈予約型コンタクトセンター〉の取り組みで、ノウハウやスキルがさらに磨かれたと感じています。そういった経験値を最大限にいかして、お客様企業や公共団体、エンドユーザーの皆さん、そしてトランスコスモス、その三者のメリットを最大化するセンター運営を実現していきたいですね。

最後に、これからチャレンジしていきたいことをお聞かせください。

近藤新しいテクノロジーやソリューションが次々に登場しています。それらをコンタクトセンターに積極的に取り入れて、コンタクトセンターサービスのトップランナーとして業界を牽引していくこと。それが私にとっての大きなチャレンジになると考えています。

村田先にお話ししたように、コンタクトセンターには、新しい価値を生み出して、お客様企業や公共団体の活動をドライブさせる機能があります。そこからさらに一歩進んで、お客様とエンドユーザーのコミュニケーションをより広い視野で支援していく仕組みづくりに挑戦してみたいと思っています。コンタクトセンターをハブとして、そこに集約されたVOC(顧客の声)をもとに、例えば、ブランド価値を上げるためのイベントを企画したり、新しいサービス開発を支援したり、新しいデジタルチャネルを立ち上げたりする。それが実現すれば、トランスコスモスの企業価値も大きく向上していくはずです。

※記載の内容・役職等の情報は、2024年8月時点のものです。

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