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センターのコストを削減し
エンドユーザーの
CXを向上させる
新しい仕組み

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.11

予約型コンタクトセンター [前編]

コンタクトセンターとエンドユーザーのコミュニケーションは、ユーザー側から電話やメールなどでコンタクトする「インバウンド型」が一般的です。この仕組みのセンター側のデメリットは、「いつ、どのくらいのコンタクトがあるかがわからない」ことです。コンタクト数を予測し、その最大値に合わせて人員を配置しなければならないので、場合によっては運用コストが無駄になってしまうことがあります。そのような課題を解決する新しい仕組みが〈予約型コンタクトセンター〉です。公共案件でこの仕組みの導入を成功させた村田哲治と近藤雄介に話を聞きました。

STAFF PROFILE
村田 哲治

村田 哲治

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第三サービス本部 二部 OP課 マネージャー

STAFF PROFILE
近藤 雄介

近藤 雄介

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第三サービス本部 二部 OP課 マネージャー

予約型コンタクトセンター
のメリットとは

2024年4月から、お二人のチームが担当している公共案件に〈予約型コンタクトセンター〉の仕組みが導入されました。はじめに、この仕組みの概要をご説明いただけますか。

村田通常のインバウンドの仕組みでは、質問などがある方々がコンタクトセンターに電話をかけ、それに対してオペレーターが対応するという流れになっています。それに対して〈予約型コンタクトセンター〉では、質問がある場合、まずウェブサイトにアクセスして、コールバックしてほしい時間帯を予約していただきます。予約が完了すると、そのデータがセンターの現場に送られ、予約された時間帯にオペレーターから予約者に電話をかけて対話するという流れになります。

従来のインバウンドコールの仕組みと比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

近藤私たちのお客様である企業や公共団体にとっての一番のメリットは、コストの最適化が実現することです。インバウンドの場合、問い合わせ件数を予測し、それに合わせて人員を現場に配置することになります。しかし、実際の問い合わせ件数が予測値を下回り、オペレーターの稼働時間が少なくなるケースがよくあります。つまり、人員に余剰が発生し、そのぶんのコストが無駄になってしまうということです。

その点、〈予約型コンタクトセンター〉の場合は、予約されている数から電話対応が必要な件数があらかじめわかるので、それに合わせて人員を配置することが可能になります。結果、最適なコストでのセンター運営が実現します。

一方、問い合わせをしてくるエンドユーザーの皆さんの視点で見れば、「電話をかけてもつながらない」、あるいは「オペレーターが電話に出るまで長時間待たなければならない」といったことがなくなることが大きなメリットです。

また現場のオペレーターにとっては、その日何件の電話をかけなければならないかがわかるので、自分の業務をコントロールしやすくなるというメリットがあります。自分が担当する予約件数が少ない場合、その時間をほかのタスクに充てるといった業務計画を立てやすくなるわけです。

コールバック予約時に質問内容まで書き込んでもらうこともできるのでしょうか。

村田そういった仕組みをつくることも可能です。質問内容があらかじめわかれば、オペレーターが事前に回答を用意しておくことができるので、応対がスムーズになります。また質問内容にあわせて優秀人材や専門性の高い人材のアサインなど、適材適所のマネジメントが可能となり、KPIの改善も期待できます。ただしメリットもある一方で、回答の準備期間を確保する必要があるため、コールバックまでにタイムラグが生まれることになります。

例えば、私が担当している案件の一つでは、当初、質問内容を書き込んでもらう仕組みにしたことで、中1日程度のリードタイムが必要になりました。今日の午前中に予約をすると、エンドユーザーは翌々日の午前中までコールバックを待たなければいけませんでした。また、質問内容が曖昧で、事前に回答を用意するのが難しいといったケースもありました。 

その後、事前の質問内容を書き込まない仕組みに改めたことによって、予約枠に空きがあれば、実際のコールバックの2時間くらい前まで予約を受けつけることが可能になりました。例えば、午前10時に予約をすれば、その日の「午前12時から午後2時」という枠でコールバックを受けることができるようになりました。

このように、質問内容を事前に書きこんでもらう仕組みには一長一短があります。重視すべきポイントが何かを検討しながら、適切な選択をしていくことが必要です。

デメリットを踏まえたトータルな判断を

〈予約型コンタクトセンター〉にデメリットがあるとすれば、どのような点ですか。

村田エンドユーザーのデメリットとしては、「電話をしたいときに電話できない」ことが挙げられます。予約受付サイトにアクセスし、予約して電話がかかってくるのを待たなければならない。その点に不満を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

また、予約枠の中でウェイティングが生じることもデメリットと考えられます。例えば、1日の予約枠が「10時から12時」「12時から14時」「14時から16時」「16時から18時」の4ブロックに分かれていて、エンドユーザーが「12時から14時」を予約した場合、電話は12時にかかってくるかもしれないし14時近くにかかってくるかもしれません。2時間の枠のどのタイミングでコールバックできるかは、センター側の状況によります。予約数が少なく、各予約者との対話時間が短ければ早めに電話をかけられますが、そうでない場合は残念ながらお待たせしてしまうことになります。

近藤企業や公共団体にとってのデメリットは、インバウンドコールの専用電話番号がなくなることで、苦情や緊急の問い合わせなどが代表電話に直接入ってくるケースが想定されることです。これまでコンタクトセンターで行っていたクレーム対応などを、企業や公共団体のご担当者が担わなければならなくなるということです。このデメリットを回避する方法として、従来のインバウンドの仕組みを残し、〈予約型コンタクトセンター〉とのハイブリッド運用を行うやり方が考えられます。

村田〈予約型コンタクトセンター〉はたくさんのメリットがある仕組みですが、今申し上げたようなデメリットもあります。そのため、〈予約型コンタクトセンター〉をご提案する場合は、メリットとデメリットを丁寧にご説明したうえで、運用のあり方を判断していただきたいと考えています。

「できない」ことを
「できる」ようにする工夫

お二人は、コンタクトセンターのマネジメント職を長く務めてきたとのことですが、これまでの歩みをお聞かせいただけますか。

村田コンタクトセンター業務を担当するようになって24年になります。その間、さまざまな業界のお客様のセンター業務の立上げや運営に携わってきました。とくに近年では、大型の公共案件に関わるケースが増えています。大型案件の場合、複数のセンターを束ねてフォーメーションを構築し、その全体をマネジメントしていく必要があります。また、フォーメーションを短期間でつくらなければならないことも少なくありません。そういった取り組みの中で得てきたノウハウが現在担当している公共案件にいかされています。

近藤私はコンタクトセンターに携わるようになってから19年になります。9カ月ほど現場のオペレーター職を経験し、その後はマネージャーとしていろいろなお客様のセンター業務を担ってきました。複数の企業の窓口を1つの現場に集約する「シェアード」と呼ばれる形態も数多く担当しています。またコンタクトセンターは、新製品や新サービスのローンチ、あるいはキャンペーンなどに合わせて、新たに立ち上げたりクローズしたりする作業が必要になります。そういった取り組みをこれまで40案件以上経験してきました。現在は、村田がリーダーを務める公共案件チームのマネージャーとして働いています。

それぞれ、ご自身のスキルの強みや持ち味はどのような点にあると思われますか。

村田先にお話ししたように、私はこれまで大型公共案件のセンター立上げや運営に数多く関わってきました。大型案件の場合、限られたリードタイムの中で大規模なシステムを構築し、多くの現場人材を確保しなければなりません。またお客様企業や公共団体と綿密なコミュニケーションをとって、センター全体の運営ルールを決めていく必要もあります。予定どおりのセンター立上げが難しいと思われるケースも少なくないのですが、「できない」という選択肢は私たちにはありません。求められた要件をどうすれば実現できるかを徹底的に考えて、「できる」ところまでもっていかなければなりません。「できない」と思われることを、さまざまな工夫によって「できる」ようにする──。そこで自分の力を最大限に発揮できると考えています。

もう1つ、大型案件の場合は、社内の各部門と連携をしていく必要があります。案件の内容に応じて、必要なリソースを確保したり、システム開発を依頼したりしなければならないわけです。これまでの経験で、「このような要件に対しては、この部門に声をかければいい」といったことがある程度わかること。そして社内各部門とのパイプを使って、必要な体制をつくることができること。それもまた自分の強みであると思います。

近藤これまでの20年近いコンタクトセンターの仕事の中で、非常に幅広い業界のお客様企業を担当させていただき、多岐にわたる業務をマネジメントしてきました。その経験があるので、民間、公共を問わず、どのようなご依頼があっても確実にセンター業務の設計、立上げ、運営ができること。その点に自分の一番のスキルがあると考えています。

また、現場の人材育成にもこだわりをもって取り組んできました。先ほどお話ししたシェアード案件の場合、一人のオペレーターや管理者が複数企業の窓口を担当し、かつ異なる業務をこなさなければなりません。1日のうちで、例えば、通販、メーカー、通信サービスなど異なる内容の問い合わせに対応し、同時に、データエントリーや商品発送の手配、VOC(顧客の声)の整理などを行うことが現場のオペレーターと管理者には求められます。そのようなマルチタスクを担える人材を育成するノウハウには自信があります。

公共案件支援に求められる
「公共意識」

お二人が所属している部署の強みについてもお聞かせいただけますか。

近藤公共案件に特化した部署ではないのですが、これまで手掛けてきた案件の多くは公共系でした。官公庁などのお客様のコンタクトセンター業務を責任もって担うことができる点が、この部署の大きな特徴と言えます。

村田大型案件の場合、トランスコスモスが運営するコンタクトセンターと、お客様先のコンタクトセンターを組み合わせて運用体制をつくるケースがよくあります。その際に重要になるのが人材の最適配置です。私たちの部署では、社内のセンターで人材を育成し、しっかりスキルを身につけた人材をお客様先のセンターにアサインする仕組みが確立しています。

公共案件と民間案件で求められる要件やノウハウに違いはあるのでしょうか。

村田コンタクトセンターの応対品質や生産性を上げて、エンドユーザーのメリットを最大化するという点では、公共案件も民間案件も変わりはありません。ただし公共案件の場合は、法律や政策などに合わせて、センター運用をより厳格にしなければならないケースが多いですね。

近藤その点では、現場のオペレーターに求められるマインドにもやや違いがあると言えます。民間のお客様企業の場合は、先方のご担当者との話し合いによって、センター運営のルールや体制、予算などを柔軟に変えていくことも少なくありません。一方、公共案件の原資は税金であり、国や自治体の方針は容易に変更できるものではありません。現場のオペレーター一人ひとりに、そのような「公共意識」を浸透させることが必要です。

※記載の内容・役職等の情報は、2024年8月時点のものです。

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