顧客接点の
データを統合し、
CX向上を実現する
画期的ツール
トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス
Vol.6
Insight BI [前編]
CX(顧客体験)を重視する企業が増えています。ウェブサイトの利便性、商品の買いやすさ、疑問のスピーディな解消──。そういった体験を提供することが、顧客との長期的な関係構築につながり、LTV(生涯顧客価値)の向上につながるからです。問題は、一人の顧客と企業やブランドとの接点が複数のチャネルにまたがっていることです。トータルなCX向上を実現するには、チャネルを横断したデータ分析やコミュニケーション改善が必要になります。それを一つのダッシュボードで実現する画期的ソリューションが「Insight BI」です。このソリューションのコンセプトや開発経緯について、開発を中心で担った2人のメンバーに語ってもらいました。
野田 健一
トランスコスモス
CX事業統括 DX推進本部
DXソリューション統括部
デジタルサービス企画部 部長
服部 早希
トランスコスモス
CX事業統括 DX推進本部
DXソリューション統括部
デジタルサービス企画部
データ活用推進課 課長
「CX」と「DX」の
あるべき関係とは
今回は、さまざまな顧客接点のデータを統合してCX(顧客体験)の向上を実現するトランスコスモスが独自に開発したソリューションであるCX最適化支援ダッシュボード「Insight BI」について、開発責任者の野田さんと、開発をリードしてきた服部さんからご紹介いただきます。ソリューションの具体的な話に入る前に、CXの基本的な考え方についてお聞きしていきたいと思います。
野田よく言われるように、商品、サービス、情報が溢れかえっている現代は、よいものをつくれば売れる時代ではなくなっています。顧客にいかに新しい体験を提供し、いかに商品やサービスを選んでもらうか──。そういった「CX=顧客体験起点」の発想があらゆる事業者に求められるようになっています。よりよいCXを提供することによって、顧客との深く長期的な関係が生まれ、それがLTV(生涯顧客価値)の向上に結びつくことになります。
CXを向上させるために必要なのが、さまざまセクションを横断したデジタル活用、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)です。現在、顧客との接点の多くはウェブ、アプリなどのデジタルチャネルであり、一方電話での問い合わせ窓口やリアル店舗などでもデータ活用が進んでいます。DXを進めて、デジタルツールやデータを統合的に活用する仕組みをつくることによって、CXを向上させることができる。そう私たちは考えています。
顧客との個別の接点ごとのCX向上を目指すのではなく、カスタマージャーニー全体をトータルに捉えたCX戦略が必要ということですね。
野田おっしゃるとおりです。「データを軸とした統合的なCX戦略」と表現してもいいと思います。そのために必要なのが「組織」と「システム」の最適化です。機能ごとに分かれている組織と、組織ごとに個別に運用していたシステム。その両方をつなげて、横断的なデータ活用を実現する仕組みがCX戦略には欠かせません。しかし、組織の統合はあまり現実的ではありませんし、すべてのシステムをすぐに一括運用できる体制をつくるのも簡単ではありません。そこで私たちは、複数の顧客接点のデータを「CX向上」の視点で統合的に活用できるソリューションを開発しました。それがCX最適化支援ダッシュボード「Insight BI」です。
定量データと定性データを活用してCX向上を支援する
最初にあったソリューションのコンセプトはどのようなものだったのですか。
野田あらゆる企業がCXを重視するようになっている中で、今まで以上のCX向上を実現するにはどうすればいいか。それが当初の着眼点でした。そのために必要なのは、顧客接点ごとのデータを統合的に把握し、CXを「点」ではなく「面」で捉えることであると考えたわけです。
また、たんにデータを統合するだけではなく、お客様企業が求めるKPI達成にデータを活用する道筋をご提示したいという思いもありました。KPIを達成するには、多くの場合、定量データだけでは不十分です。CX向上を妨げている問題点、つまり「何が起きているか」は定量データから知ることができますが、そのような問題が「なぜ起きているか」は定量データからは把握できないからです。「なぜ起きているか」を知るには定性データが必要になります。定性データの代表的なものが、コンタクトセンターに寄せられる顧客の声(VOC)です。定量データと定性データの両方を活用して、お客様企業のCX向上を支援すること。それが、私たちがInsight BIによって目指したものです。
Insight BIの具体的な機能をご説明いただけますか。
服部電話、チャット、SNS、ウェブFAQといったチャネルの定量データと、VOCやSNSの書き込みなどの定性データをダッシュボードで一覧できて、KPIに合わせてビジュアライズできるのがInsight BIの基本的な機能です。
野田重要なのは、ダッシュボード化やデータ統合自体がこのソリューションの目的ではないということです。一般にBI(ビジネスインテリジェンス)ツール開発がしばしば失敗するのは、プロダクトアウトの発想でツールをつくるケースが多いからだと私は考えています。それに対してInsight BIの中心にあるのは、あくまでも使い手であるお客様企業が「データの統合的活用によって何を達成したいのか」という視点です。その視点を「CXの向上」に思い切ってフォーカスしたのがInsight BIの特徴です。用途を増やすとツールが生み出す価値が薄まってしまう可能性があります。あえて機能を限定し、その中で最高の成果を出すことを私たちは重視しました。
服部ソリューションをお客様企業ごとに一から設計するとコストや時間がかかるという問題意識もありましたね。そこで、低コストでスピーディに導入できる基本パッケージを用意しました。基本パッケージは1か月から2か月程度のリードタイムで導入ができて、かなり抑えた料金でのご提供が可能です。基本パッケージがカバーしているのは先に挙げた電話、チャット、SNS、ウェブFAQの4チャネルですが、お客様企業のニーズに応じてチャネル数を増やし、統合するデータを拡張するといったオプションもご用意しています。
コンタクトセンターの
「現場感」を開発にいかす
開発にあたって苦労したのはどのような点でしたか。
野田データ統合の仕組みづくりですね。定量データの統合は、難易度でいうと「Hard」といったところですが、それが定性データになると「Very Hard」にまで上がります。その両方を実現するのに1年半ほどかかりました。
服部お手本のないツールだったので、0から1を生み出す苦しみがありましたね。野田さんが構想したコンセプトを、私を含めて6人ほどのメンバーが協力し合いながら実装していきました。苦労しましたが、国内外を見回してもほかに例のない画期的なソリューションをつくることができたと思っています。
開発にあたっては、「三方良し」、つまり、お客様企業、その顧客、そしてコンタクトセンターの現場の三者にメリットがもたらされるツールにしたいという思いがありました。CXを向上させることによって、顧客は豊かな体験価値を得ることができて、お客様企業には売り上げ向上やコスト削減といったメリットがあります。一方、お客様企業とご相談のうえでコンタクトセンターの現場の担当者がダッシュボードを閲覧する権限をもたせていただくことができれば、お客様企業の課題感を現場で具体的に把握することができるようになります。これまでオペレーターが顧客とのコミュニケーションの中で抱いていたぼんやりした違和感を可視化できるわけです。そこから、現場起点でのご提案をお客様企業にしていく。そんな流れをつくりたいと考えました。
野田日々お客様企業の顧客と直接接しているコンタクトセンターのオペレーターは、お客様企業のビジネスや顧客を深く理解しています。また、顧客の生の声からビジネスの課題感を感じ取ることもできます。しかしこれまでは、その課題の裏づけとなるエビデンスがありませんでした。Insight BIのダッシュボードを見られるようになると、その課題感の根拠が明らかになるので、改善の具体的な提案ができるようになります。つまり、現場のスタッフがお客様企業のビジネス成果に直接貢献できるようになるわけです。これは、オペレーターにとって大きなモチベーションになります。
開発を進める際には、現場のオペレーターの意見も参照したのですか。
野田オペレーターの意見は非常に重要でした。私自身が全国100カ所くらいのコンタクトセンター事業所がお客様企業に提出している報告書を確認したり、コンタクトセンターを回って、オペレーターにインタビューしたりしました。あれは本当にたいへんな作業でしたね(笑)。
トランスコスモスの最大の強みは、自らコンタクトセンターを運営し、知見を蓄積している点にあります。しかし、そのような知見のほとんどは暗黙知であり、そのまま活用することはできません。必要なのは、その暗黙知を形式知化してソリューション開発にいかしていくことでした。いわば、眠っている宝の山を掘り起こす作業です。そのたいへんな作業に取り組んだことによって、お客様企業にとって本当に有用であると胸を張って言えるソリューションをつくることができたと自負しています。一度お使いいただければ、必ずこのソリューションの価値を実感していただけると思います。
確かに、コンタクトセンターを自ら運営して、かつデータ活用のソリューション開発や運用ができるベンダーはほとんどいないと言ってもいいかもしれません。
野田国内ではトランスコスモスだけではないでしょうか。お客様企業の顧客が感じている悩みや不満を知ることができて、何を改善すればいいかを肌身で感じることができる。その「現場感」をソリューションにいかすことができるベンダーはおそらくほかにないと思います。
※本記事に記載されている情報は、2023年9月時点のものです
後編では、Insight BIの活用事例などをご紹介していきます
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