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顧客との
対話を可視化し
多様な価値を生み出す

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.3

transpeech[前編]

コンタクトセンターは企業にとって、顧客の生の声を直接聞くことができる数少ない接点の一つです。そこにおける顧客とオペレーターの対話には、貴重なビジネス資産となるポテンシャルがあります。しかし、以前は対話を資産にする明確な道筋がありませんでした。トランスコスモスが開発した「transpeech(トランスピーチ)」は、対話音声を自動的にテキスト化し、分析することによって、その道筋をつくることを可能にするソリューションです。2017年からソリューション開発プロジェクトに携わり、コンタクトセンターへのtranspeechの導入と運用をリードしてきた露木昭博に、このソリューションの概要とそこから生み出せる価値についてインタビューしました。

STAFF PROFILE
露木 昭博

露木 昭博

トランスコスモス
DEC統括 DX推進本部
DECソリューション統括部
デジタルサービス企画部
音声認識ソリューション課

オペレーターの応答を自動的にテキスト化

transpeechとはどのようなソリューションなのですか

コンタクトセンターに寄せられる顧客の声は、さまざまな情報を含んだ貴重な情報源です。以前から録音装置を用いて情報を蓄積していたのですが、膨大な音声データを分析していくのにも工数がかかることから、その先の活用を検討するところまで十分にできていませんでした。そこで、声をテキスト化し、可視化することで、新しい価値を生み出すことはできないか。そう考えて、2017年に自動音声認識の技術を活用するプロジェクトを発足させました。

いくつかの技術を試した結果、アドバンストメディア社の「AmiVoice」という音声認識エンジンを活用することにしました。非常に使い勝手がよく、日本市場でナンバーワンシェアを誇るエンジンです。そのエンジンをベースに、トランスコスモス独自の機能を加えて2018年にリリースしたのがtranspeechです。

それによって、顧客の声の可視化は実現したのですか。

音声認識の技術は現在ではほぼ成熟段階に入っているのですが、2018年の時点ではまだ認識率がそれほど高くはありませんでした。そこで、まずは顧客の声の可視化ではなく、コンタクトセンターの応対品質の向上に活用しようということになりました。オペレーターの応答を音声認識技術で自動的にテキスト化し、例えば「自分の名前をきちんと伝えられているか」「謝辞を丁寧に述べることができているか」といったことを確認する使い方です。それによって応対品質を上げることができれば、顧客にとってのメリットにもなるし、各センターの管理者のマネジメント負担も下がります。

その後、音声認識技術は日進月歩の勢いで進化し、それに応じてtranspeechに独自の機能を追加していきました。そうして、顧客の声の可視化とその分析に活用できるようになったのが、現在のtranspeech2.0です。

応対品質をお客様企業の
ビジネス成果に
結びつける

transpeechの具体的な機能についてご説明ください。

音声の自動テキスト化と、声の震えなどから発話者の感情を類推する感情解析の機能があります。現在のtranspeechは、そのうち音声のテキスト化の機能を用いて、それにトランスコスモス独自の分析技術を加えています。

独自技術によって実現した機能の一つが「AI defender」です。これは、コンタクトセンターでオペレーターが言うべき言葉を言っているか、あるいは言うべきではない言葉を言っていないかをAIが判定し、アラートを出してくれる機能です。オペレーターには対応案件ごとのスクリプト(台本)があります。それと実際に発話した内容のテキストを整合させることでチェックは可能になるわけですが、AIを使うことによって、発話がスクリプトどおりでなくても言葉のニュアンスによって正否が判断できるようになります。
応対中の不適切発言をAIが判定し、管理者側がアラートを受け取ることで、都度適切なフォローが出来ることも大きなメリットです。

「品質管理プラットフォーム」もAIを活用した機能です。コンタクトセンターでは以前から応対品質の管理を行っていましたが、過去の品質評価を統合する仕組みがありませんでした。「品質管理プラットフォーム」は、過去の品質評価データとの比較もできるため応対品質がどのくらい向上しているかを時系列で確認することが可能になります。またAIによる品質評価と人による細かな評価を融合させることができます。

さらに最近は、「セールストーク解析」という機能も追加しました。これはテキスト化された音声をAIが「成功したトーク」と「失敗したトーク」に分析し、成功したトークから成功要因を抽出、その後のコミュニケーションにいかしていくことを可能にするものです。

例えば、コンタクトセンターではお客様企業のアウトバウンドの施策をご支援することがあります。電話で顧客にアプローチし、商品やサービスの購入・契約などを成立させる仕事です。アウトバウンドに実際に取り組んでみると、オペレーターによってアプローチの成功率が大きく変わることがわかります。今までは、成功率が高いオペレーターはなぜ成功しているのか。、その点がこれまではブラックボックス化していました。しかし、「セールストーク解析」を用いて「成功したトーク」と「失敗したトーク」を比較分析し可視化することで、成功率が高いトークの言い回しや単語の使い方などが明らかになり、それをほかのオペレーターと共有することが可能になります。それによって、センター全体のアウトバウンド成功率を上げていくことができるわけです。

お客様企業のビジネスに大きく貢献できる機能と言えそうですね。

そのとおりです。これまでのコンタクトセンターの課題は、応対品質とお客様企業のビジネス成果の関係が必ずしも明確ではないことでした。応対品質を上げることによって、商品の売り上げがどのくらい上がるのか。あるいはサービスの解約率がどのくらい下がるのか。それがわからなかったわけです。

「セールストーク解析」を使えば、オペレーターがどのようなコミュニケーションを行えば、どのくらい商品が売れるか、どのくらい解約をとどめられるかを明らかにすることができます。また、コミュニケーションを改善することでCS(顧客満足度)の向上も期待できます。

※transpeechの具体的な機能はこちらから

お客様企業とともにソリューションを育てていきたい

お客様企業の業種や部門などによって、重要とされる単語などは異なりますよね。

それもそのとおりですね。私たちは、音声認識エンジンをチューニングし、業界ごとに最適な形でお使いいただけるパッケージにしてご提供しています。現在、金融、製造、製薬など全7タイプのエンジンを用意しています。もちろん、そのパッケージをベースにカスタマイズすることも可能です。

それらの機能は、すべてトランスコスモスの社内で独自に開発したものなのですか。

ベースとなる音声認識エンジン以外の、例えばAIの機能などはすべて内製しています。私たちの強みの一つに、社内に自然言語処理の専門スタッフがいることが挙げられます。それによって、機能を独自に開発できるだけでなく、カスタマイズのご要望にも迅速に対応することが可能になります。コンタクトセンターを支援するベンダーの中にAIの専門家がいるケースはあまりないと思います。その点もトランスコスモスの強みと言えますね。

transpeechチームは、テクノロジーの専門家によって構成されているのですか。

AIをはじめとするテクノロジーの専門家と、データ解析の専門家、そしてお客様企業の事業に精通しているコンタクトセンター経験者。主にその三領域の人材が集まっています。ソリューションを開発するにはテクノロジーや解析に関する専門的な知見が求められますが、それだけではお客様企業のニーズやコンタクトセンターの課題などを把握することはできません。お客様企業や現場のことをよく知っている人材がいて、一方にテクノロジーのプロフェッショナルがいる。さらにそれらの人材が、日々意思疎通をしながら一体となってソリューションの価値を最大化していく。そんなチームづくりを実現しています。

感情解析の機能もあるというお話がありました。これはどのような活用が可能なのでしょうか。

その機能を使ったソリューション開発に今まさに取り組んでいるところです。顧客の会話には、怒っている、急いでいる、喜んでいる、考え込んでいるなど、文字には表れない要素が含まれます。それを読み取るのが感情解析の機能です。例えば、顧客がどのような感情の状態にあるときに対話が成功するのか。あるいはオペレーターがどのような感情の状態にあるときに対話が失敗するのか。そういったことを明らかにできるわけです。音声認識技術自体の精度はかなり上がっているので、それだけで差別化を図ることは今後難しくなっていく可能性があります。感情解析の機能を加えることで、transpeechをさらに進化させていくことを私たちは目指しています。

ソリューション導入するだけでなく、その後の運用支援も行うのですか。

もちろんです。導入後は効果が出るところまで責任をもって伴走させていただきますし、その後もPDCAサイクルを回しながら、お客様企業の課題解決を支援していきます。例えば、分析結果を見てスクリプトの変更をしたりするといった作業も一緒に進めせていただきます。導入と最初期の解析は私たちのチームが担当し、その後は各センター側で分析手法などのスキルを身につけてもらって、現場で引き続き運用を行うといったケースもあります。

transpeechは、長期的に運用することで精度をどんどん上げていくことができるソリューションです。お客様企業とセンターと私たちのチームが力を合わせることで、ソリューションを育て、確かな成果に結びつけていきたい。そんなふうに考えています。

※本記事に記載されている情報は、2023年3月時点のものです

後編では、transpeechを活用して成果を上げた事例をご紹介していきます

トランスコスモスはお客様企業のビジネスを成功させるため、あらゆる形で支援します。
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