企業と顧客の
コミュニケーションの
基盤づくりをサポートする
トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス
Vol.2
センター立上げ支援 [後編]
トランスコスモスのコンタクトセンター立上げ支援チームはこれまで、公共、民間の数々の案件をサポートしてきました。後編では、民間企業のセンター立上げ支援のいくつかの事例をご紹介していきます。それぞれの取り組みから、「立上げ」というプロセスの重要性が見えてきます。
永岡 康子
トランスコスモス
DEC統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
事業推進本部 プロジェクト推進一部
部長
上藤 直久
トランスコスモス
DEC統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
事業推進本部 プロジェクト推進二部
部長
新しいチャネルやテクノロジーを導入する
トランスコスモスは、これまで数多くの民間企業のコンタクトセンターの立上げを支援してきました。民間企業の案件にはどのような特徴があるのでしょうか。
永岡取り組みの内容が千差万別という点ですね。お客様企業のニーズ、センターの規模、立上げのスケジュールなどは案件ごとにまちまちです。だからこそ、立上げプロセスの最初の段階でお客様企業と綿密に話し合いをして、最適なプランを立てることが大切になります。
これまでの具体的な事例についてお聞かせいただけますか。
永岡まず、新しいチャネルやオペレーションを導入して、センターを再構築した事例からご紹介していきます。一つは、通信系企業のサポート窓口にLINEを使った有人チャットを導入したケースです。このケースでは、以前から私たちがコンタクトセンターの運営をしていましたが、電話によるサポート以外の対応はしていませんでした。そこに、新しいチャネルとしてLINEでのチャットサポートを導入することになりました。
LINEでのコミュニケーションでは、文章を短くしたり、堅苦しくないやりとりをしたりしなければなりません。また、会話の「ペルソナ」を設定する必要もあります。オペレーターが違っても同一のキャラクターが返答しているイメージをつくるわけです。これまで電話でのサポート業務に従事していた人たちをチャットのサポートができるように育成していくのがたいへんでしたね。
対象となる製品やサービスが同じでも、コミュニケーションのチャネルが異なれば、応対スキルも変えなければいけないわけですね。
上藤そうですね。結果的に、LINEによるサポートの顧客満足度は90%を超えて、お客様企業から高い評価をいただきました。
次に、レンタカーサービスの受付の事例をご紹介します。このケースでは、電話、ウェブ、ファックスの3つのチャネルで申し込みを受け付けていたのですが、以前はウェブからの情報を基幹システムに手作業で入力する必要がありました。その作業を省力化したいというご要望に対して私たちがご提案したのが、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用した自動化でした。
RPAの導入がスムーズにできたのは、トランスコスモスの社内にテクノロジーチームがいるからです。テクノロジーの専門スタッフと、現場のオペレーションに精通しているスタッフが話し合いながら、自動化のシステムを構築して、業務の効率化に成功しました。以前は60人を擁したオペレーションが48人でできるようになり、大幅なコスト削減が実現しています。
コンタクトセンターを
一から立上げる
難しさと醍醐味
立上げ支援のプロセスついてご説明ください。
永岡最近は企業のM&Aの動きも盛んで、それにともなうコンタクトセンターの一元化支援のご要望をいただく案件も増えています。ある流通系企業2社の経営統合のケースでは、合併前のそれぞれのブランドを残しながらコンタクトセンターの機能を統合していく作業を支援させていただきました。
たいへんだったのは、各ブランドでコンタクトセンターに求める機能が異なっていたことです。私たちは、統合後の会社の経営方針を確認させていただきながら、コンタクトセンターの役割についてお客様企業と話し合いを重ねました。その結果、ブランドごとに顧客対応のやり方を変えながら、マネジメントやデータベース、レポートなどは統一するという方針になりました。柔軟性が非常に求められる案件でしたが、それに対応できたことで、この案件で、お客様企業から高評価をいただくことができました。
上藤これは企業の合併にともなうコンタクトセンターの再構築の事例ですが、新規事業のスタートにともなってセンターを一から立ち上げなければならないケースもあります。そのようなケースの一つが、海外の自動車メーカーが自社ECで車を販売する案件でした。これまでにないビジネスモデルであり、コンタクトセンターにどのような要件が求められるかお客様企業もわからない中、事業の全体像を把握しながら要件定義をしていきました。新規のセンターの場合、想定どおりに業務が運ばないケースも多々あります。そういった場合にはどう軌道修正するかまで考えて、立上げを支援しました。
永岡このようなケースでは、とりわけ私たちのこれまでの経験や知見がいかされることになります。非常に難易度の高い仕事ではありますが、お客様企業との共同作業の醍醐味があって、とてもやりがいがありますね。
ECにおけるコンタクトセンターの役割とは
最近は、ECサイトの構築と一緒にコンタクトセンターを立上げるケースも増えているようですね。
永岡増えています。トランスコスモスでは「ECワンストップ」というサービスを提供していて、サイト構築、コンタクトセンターの立上げと運用、さらに物流までをトータルで支援しています。
ECサイトの立上げやリニューアルに合わせてコンタクトセンターを開設する場合は、お客様企業が求める商品の売り方によってコンタクトセンターのオペレーションの内容が大きく変わってきます。そのためにECサイト構築を支援するチームとの話し合いが非常に重要になります。対話を重ねて、お客様企業が求めていることを共有しながら、1カ月から2カ月ほどかけて要件定義をし、その後3カ月くらいでEC構築とセンター開設の作業を並行して進めていく。それが一般的なプロセスです。
ECにおいて、コンタクトセンターにはどのような役割が求められるのですか。
上藤ECにおける顧客との接点には、サイト内の問い合わせフォーム、メール、チャット、電話などがあります。そのすべてに対応する必要があるだけでなく、例えばサイトに不具合があるという連絡がコンタクトセンターに寄せられた場合は、それを迅速にサイト運営チームと共有するといった動きも求められます。
ECでは、コンタクトセンター側で「売り」につながる取り組みを行うケースもあるのでしょうか。
上藤ありますね。例えば、商品のサンプルを申し込んだ顧客に対してアウトバウンドでアプローチしたり、ショートメールやメールマガジンでキャンペーンの告知をしたりする作業をコンタクトセンターが担うケースも少なくありません。
大規模案件を成功させる
交渉力と調整力
これまででとくにたいへんだった民間企業の立上げ案件にはどのようなものがありますか。
永岡地方銀行の共同ヘルプデスクの再構築の案件が挙げられます。ほかの事業者が運営していた、60ほどの銀行の共同問い合わせ窓口の運営を引き継いだケースです。難しかったのは、問い合わせの対応の仕方に共通ルールと個別銀行のルールの両方があった点でした。60行すべてのルールを確認し、さまざまな資料に目を通してルールを整理するところから再構築の作業は始まりました。
幸い、トランスコスモスはこれまで銀行のアウトソーシングを数多く受託してきたこともあって、銀行の問い合わせ窓口にどのような要件が必要とされるかを熟知しているメンバーがたくさんいます。時間はかかったものの、各銀行の要望を踏まえたルールを設計することができました。ほかにも、膨大な数のステークホルダーと交渉する力、多岐にわたる要望を調整する力などもトランスコスモスならではであったと自負しています。
60行もあると、問い合わせへの対応マニュアルをつくるのもたいへんですよね。
永岡全行共通のマニュアルと個別マニュアルがあって、現場のオペレーターにはその両方を学んでもらう必要がありました。全員が共通マニュアルを覚えたうえで、1人5行くらいを担当するといった体制にしました。再構築の作業には足掛け3年ほどを要しましたが、結果的にお客様企業に満足していただけるオペレーション品質を実現できました。
大きなビジネスデザイン
の中にコンタクトセンターを
位置づける
お客様企業のコンタクトセンターを支援するにあたって、とくに大切にされていることは何ですか。
永岡お客様企業の「想い」を把握することです。それをコンタクトセンターという機能を通じて、お客様企業の顧客に伝えていくことが私たちの役割であると考えています。企業と顧客が本当の意味でつながるお手伝いをすること──。そう言ってもいいかもしれません。
上藤私たちには二つの「お客様」がいると考えています。お客様企業とその顧客です。一人ひとりの顧客を大切にすることが、すなわちお客様企業を大切にすることであり、ひいてはそれがお客様企業の事業への貢献になる。その視点を忘れないようにしたいといつも思っています。
トランスコスモスのコンタクトセンター支援事業を、今後どう成長させていきたいとお考えですか。
永岡お客様企業のビジネス全体の中でコンタクトセンターの役割を考えていくことが必要であると考えています。「コンタクトセンターはコストセンターである」という意見がいまだ少なくありません。しかし、それはセンターの機能を単体で捉えた見方です。事業全体のデザインの中にしっかりコンタクトセンターを位置づけることができれば、コンタクトセンターが事業成長にとってなくてはならない機能であることを理解していただけるはずです。そのような認識をお客様企業と広く共有していくことが、私たちの事業成長にもつながると思っています。
上藤コンタクトセンターは企業活動のインフラの一つであると同時に、人々の生活にとってなくてはならない社会インフラになってきていると私は考えています。人々のよりよい生活を支えるコンタクトセンター実現に寄与すること。それがこれからの私たちの成長の方向性であると思います。
私たちは立上げ支援のプロですが、立上げはコンタクトセンターの運営に至る一プロセスにすぎません。重要なのは、立上げの段階でお客様企業と顧客とのコミュニケーション基盤をしっかりつくり、それによって一人ひとりの顧客の満足度とお客様企業の事業成長の両方を実現していくことです。その大きな視野をもって、これからも立上げ支援に取り組んでいきたいと考えています。
永岡同感ですね。「立上げ支援」という単体のサービスがあるわけではありません。センターの長期的運用と確かな成果につながる仕事をこれからもしていきたいと思います。
※本記事に記載されている情報は、2022年12月時点のものです
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