「一人一人のお客さまに寄り添う
コンタクトセンター」を
二人三脚で実現する
ー “委託業者”ではなく
“ビジネスパートナー”として組織構造を進化 ー
八束 敏浩氏
みずほ銀行
カスタマーリレーション推進部
横浜ダイレクトバンキングセンター 所長
みずほ銀行
カスタマーリレーション推進部
横浜ダイレクトバンキングセンター 所長
柳原 雅樹
トランスコスモス
DEC統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括
ストラテジックアカウント第一統括部 二部 一課 課長
トランスコスモス
DEC統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括
ストラテジックアカウント第一統括部 二部 一課 課長
みずほ銀行様×トランスコスモス
みずほ銀行のコンタクトセンターである「ダイレクトバンキングセンター」の所長を2020年から務めてこられた八束敏浩氏。その就任は、まさに新型コロナウイルスが急激に拡大するのとほぼ同時期でした。この困難な時期に、八束氏はコンタクトセンターの業務の平準化と生産性を大きく向上させることに成功しました。それはトランスコスモスとの二人三脚によって実現したものだと八束氏は話します。八束氏と、トランスコスモス側の責任者である柳原雅樹が、「一人一人のお客さまに寄り添うコンタクトセンター」実現に向けた奮闘を振り返ります。
銀行にとって
なくてはならない顧客接点
所長に就任されたのは2020年5月とのことです。それまでの歩みをお聞かせいただけますか。
八束みずほ銀行に入行したのは、今からちょうど30年前の1992年です。以来2020年まで、支店の現場でお客さま応対の仕事をしてきました。長年、目の前にいらっしゃるお客さまとのやりとりが主だったので、コンタクトセンターでの電話やメールのみでの対応は当初は戸惑いました。とはいえ、お客さまからのご質問やご要望に丁寧に心を込めてお答えするという本質は、支店もコンタクトセンターも変わりはないと考えています。
所長に就任されてから、お仕事の中でとくに大切にされてきたことをお聞かせください。
八束人を育てることです。センターには一緒に働いているたくさんの仲間たちがいます。その一人一人が高い意識を持ち、力を十分に発揮できるようになることが、サービスの質の向上につながります。この2年半の間、トランスコスモスさんのご協力を得ながら、メンバーの成長を後押ししてきました。その結果、多くの仲間が成長していく姿を見ることができたことは、私にとって大きな喜びでした。
銀行におけるコンタクトセンターの役割をお聞かせください。
八束以前はお客さまのご用件には、お客さまのお住まいや仕事場の近くにある支店で対応するのが普通でした。コンタクトセンターも以前からありましたが、あくまでも支店業務を補完する役割でした。しかし5年くらい前から、お客さまサポートのデジタルシフトが進み、インターネットで365日24時間いつでもサービスをご提供して満足していただく方向に大きく舵を切りました。とくにコロナ禍以降は、非対面でのサポートの重要性が非常に大きくなっています。
しかし、非対面サポートがどれだけ進んでも、人間の声を通じてのコミュニケーションを求められるお客さまは多くいらっしゃいます。また、デジタルによって自動化できない領域もたくさんあります。その部分を担うのが、私たちコンタクトセンターです。支店を補完する機能から、なくてはならない重要な顧客接点の一つになった。それが現在のコンタクトセンターです。
「委託業者」ではなく
「ビジネスパートナー」
トランスコスモスがみずほ銀行様のコンタクトセンター業務を支援するようになったのはいつからですか。
柳原2016年からです。私自身は18年から担当させていただいています。16年以前は、みずほ銀行様の関連会社がセンターを運営されていて、業務を担われていたのは銀行のOBの皆様だったとお聞きしています。OBの皆様は銀行業務のプロフェッショナルですが、コンタクトセンターのノウハウは必ずしも十分ではなかったので、この領域のプロである弊社にコンタクトセンター運営、特に応対品質面に期待をいただき業務を委託いただいた。そんな流れだったようです。
現在、コンタクトセンターは横浜と札幌の2カ所で運営されていますが、そのうちコンタクトセンター全体の8割くらいの業務を私たちが担当させていただき、預金送金、投資信託、外貨関連など専門性を要するものや資格を必要とする案内に関しては、行員の皆様が担当される体制になっています。現在は、全体でひと月におよそ10万件の電話に対応しています。
当初からそのような体制での支援だったのですか。
柳原しばらくの間、委託先は私たちを含めて複数社ありました。現在の体制になったのは、八束さんが所長に就任されてからです。弊社の担当業務を増やしていただき、それにともなってオペレーターも80人くらい増員しています。
八束現在では、ほぼトランスコスモスさん1社にお願いする形になっていますね。2016年以降、トランスコスモスさんの業務支援体制が極めて安定しているという実感をみずほ銀行は得ています。とくにコロナ禍の中における柔軟かつ強靭な対応には、たいへん感謝しています。トランスコスモスさんがみずほ銀行のコンタクトセンターの最良のパートナーであることは、実績が証明している。そう言っていいと思います。
柳原ありがとうございます。私たちもご期待に応えるべく、これまでいろいろな工夫を重ねてきました。一番大きかったのは、組織変更です。以前、センターがある横浜と札幌は、私たちの組織では別部署での管轄でした。2拠点を統合的に運用するには、管轄も統合する必要があります。そこで、「ストラテジックアカウント」というエリアを超えた新しい部門を新設し、2拠点を統合的かつ効率的に運用する体制をつくりました。
八束私たちの「One DBC」という考え方に合わせて、組織の形を変えていただいたわけです。DBCとはダイレクトバンキングセンターのことで、一般に言われるコンタクトセンターと同じです。そのセンター全体が一つのチームとなって、お客さまにしっかり寄り添っていこう。それが「One DBC」という言葉に込められた思いです。まさに、その思いにトランスコスモスさんが寄り添ってくれたということです。もちろん、「One DBC」の中にはトランスコスモスさんも含まれています。
柳原八束さんはいつも、「トランスコスモスは“委託業者”ではなく“ビジネスパートナー”である」と言ってくださっています。同じ目線で仕事をして、同じ釜の飯を食べている仲間である、と。本当にうれしいお言葉です。同時に、大きな責任も感じますね。
コロナ禍の中で業務平準化と
生産性向上を実現する
八束さんの就任は、まさにコロナ禍が本格化した頃でした。危機的な状況に際して、センターの責任者としてどのような対応をされたのですか。
八束まずは、仲間たちを守ることを第一に考えました。トランスコスモスさんのメンバーも含め、センターのスタッフに罹患者が出ないように、全スタッフをいくつかのグループに分けて、交代で勤務をする仕組みをつくりました。
一方、ソーシャルディスタンスが進んだこともあり、お客さま対応が支店からコンタクトセンターに大きくシフトしました。増加したアクセスにしっかり対応するために、仕事のマルチ化を進めました。それまでの担当領域を超えて、一人が担える仕事を増やす取り組みです。当然、現場のスタッフは新しいスキルを身に着ける必要がありました。指導する人たちも、スキルを覚える側の人たちも大変だったと思います。
柳原正直、大変でしたね(笑)。もともとみずほ銀行様のフリーダイヤルは、一般商品案内、ネットバンキング、支店宛の電話対応の3つに分かれていて、担当者も別々でした。その業務を細分化し、より簡単に習得できそうな業務を汎用化して、一人で複数の業務を担当できる体制を急ピッチでつくりました。もちろん、一人一人適性が異なるので、その適性を見極めながら、新しいスキルを習得してもらいました。
八束業務の平準化と生産性の向上は、コロナ禍以前からの課題でした。コロナ禍によって、その課題が一気に顕在化したということです。柳原さんと一緒に必死にコロナ禍に対応することで、結果的に課題解決に向けて大きく前進することができました。
柳原業務量が増えてもすぐに人を増やすことはできませんが、スキルトランスファーによって「できること」を増やすことはできます。これに取り組むことによって、支店側の業務の一部をコンタクトセンターに移管することにも成功しました。以前は支店でなければ対応できないと考えられていた業務内容を精査し、コンタクトセンターで担える仕事を引き受けたわけです。
八束それによって、支店の現場は対面でのコンサルティングなど、やるべき仕事に集中できるようになりました。この取り組みはみずほ銀行内で評価されて、表彰までされました。一緒に頑張った甲斐がありましたね。
表彰といえば、2019年度から4年連続でHDIの三つ星を獲得されていますね。
柳原HDIはITサポートサービスのグローバルなメンバーシップ団体で、世界中の企業のサポートサービスを評価し、日本では「HDI格付けベンチマーク」として毎年発表しています。いわば、サポート業界のミシュランのようなものです。三つ星はその最高評価にあたるもので、応対品質、スタッフの知識、応対の迅速性、ウェブサイトの使いやすさ、チャットやメールによるお問い合わせ導線のわかりやすさなどが総合的に評価されます。そのトータルな活動を通じて、いかにお客さまに寄り添った対応が実現できているか。その観点において最も高い評価を4年連続でいただきました。
八束さんが所長に就任されてからは、3年連続で三つ星を獲得したわけですね。
八束客観的な評価をいただくのはたいへんありがたいことですし、現場の仲間たちのモチベーションにもつながります。トランスコスモスの皆さんとともに走りながら獲得できた評価だと考えています。
「次世代コンタクトセンター」の構想があるとお聞きしました。これはどのようなものなのですか。
八束「利便性の向上」と「パーソナライズ」。その2つを実現するセンターです。利便性とは、電話、FAQ、チャットなどでお客さまの問題を迅速に解決できること、パーソナライズとは、個々のお客さまに応じた最適なサービスを提供できることを意味します。この2つを実現することが、これからのセンターの一つの目標となります。
センターの「魂」を含めた継承を
あらためてこの2年半を振り返ってみて、トランスコスモスのどのような支援が一番力になったと感じていらっしゃいますか。
八束あらゆる仕事において最も大切なのは「基本」、つまりベースになる知識やスキルです。私のように営業現場から配属になった人間は、コンタクトセンターの基礎が当初はわからないものです。また、センターで長年働いているメンバーでも、「基本とは何か」ということを明確に言語化できるわけではありません。そこで私たちは、柳原さんにスタッフ向けの研修をお願いして、コンタクトセンターの基礎を教えていただきました。あの研修を通じて、センター全体で均質な基礎知識が身についたこと。多岐にわたるご支援の中でも、それがとくに印象に残っています。
柳原あの研修が実現したのは、八束さんの熱意のたまものだったと思います。人を育てることが大事と一貫しておっしゃって、情熱をもってそれを実践されてきたのが八束さんです。私がご提供した研修は、その情熱をサポートしたにすぎません。
コンタクトセンターの業務において、最も重要なのは「人」です。お客さまへの応対がたとえたどたどしかったとしても、誠意をもって、一生懸命対応することで、お客さまは感動してくださいます。大切なのは「上手な対応」よりも「一人一人のお客さまに寄り添うこと」です。それがみずほ銀行様のコンタクトセンターで実現しているのは、八束所長の情熱があったからこそだと思います。
これからトランスコスモスに期待することをお聞かせください。
八束転勤、転属が多いのが銀行です。人が変わっても、コンタクトセンターのあるべき姿は継承していかなければなりません。必要なのは、スキルやノウハウだけでなく、「魂」も含めての継続性です。トランスコスモスさんには、その点でこれからもお力をお貸しいただきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
柳原もちろんです。私たちの役割は、コンタクトセンターの業務を通じて、みずほ銀行様の成長に寄与することです。「お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさであり、ひとりひとりの成長がその大きさと未来を創る。」──。それが弊社の経営の基本理念です。みずほ銀行様にご満足いただくためには、私たち自身が成長を続けなければなりません。この変化の激しい時代にあって、成長しないことは退化に等しいと言っていいと思います。自ら成長を続け、みずほ銀行様の成長をご支援すること。それがこれからの私たちの目標です。こちらこそ、引き続きよろしくお願い申し上げます。
2022年8月取材
トランスコスモスはお客様企業のビジネスを成功させるため、あらゆる形で支援します。
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