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コンタクトセンターの
役割や存在意義を定義し
お客様企業への
「真の貢献」を実現する

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.8

事業所MVV[前編]

MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を経営基盤に据える企業が増えています。トランスコスモスは、2019年からコンタクトセンターの基盤づくりにMVVを活用する取り組みを始めました。それが、現在全国500カ所以上のコンタクトセンターに導入している〈事業所MVV〉です。センターごとに異なる独自のMVVを策定することの意味とその成果について、〈事業所MVV〉を推進している3人のメンバーに話してもらいました。

STAFF PROFILE
尾崎 由紀

尾崎 由紀

トランスコスモス
CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
人財開発本部 組織開発部 育成推進課

STAFF PROFILE
小林 大樹

小林 大樹

トランスコスモス
CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第二サービス本部 池袋EASTユニット
CXスクエア池袋EAST センター長 兼
事業所MVVアンバサダー

STAFF PROFILE
坂本 美里

坂本 美里

トランスコスモス
CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
第二サービス本部
オンサイトユニット 第一グループ
グループ長 兼 事業所MVVアンバサダー

数字の先にある本質的な
目標を把握するために

MVVを定める企業は増えていますが、コンタクトセンターごとに独自のMVVを策定する取り組みは非常に珍しいと思います。まず、トランスコスモスの〈事業所MVV〉におけるミッション、ビジョン、バリューとはどういうものか、ご説明いただけますか。

尾崎最も上位に位置づけられるのがビジョンで、これはお客様企業のありたい姿や理想の状態を定義したものです。次に、そのビジョンを達成するためにコンタクトセンターとして何をすべきか。センターの役割は何か。存在意義は何か──。そういったものを定めたものがミッションです。そして、ビジョンとミッションを実現するための日々の行動指針を定義したものがバリューです。

バリューを決めるにあたっては、トランスコスモスの経営の基本理念やサービスマインドから重要ワードを抽出した「TCIP=ティーシップ」のフレームワークを用います。Tは信頼(トラスト)、Cは貢献(コントリビューション)、Iは成長(インプルーブメント)、Pは人(ピープル)を意味します。そのそれぞれのキーワードに合わせて、具体的な行動指針を定めていくわけです。

なぜ〈事業所MVV〉が必要であると考えたのでしょうか。

尾崎それぞれのコンタクトセンター、私たちは「事業所」とよんでいるのですが、各事業所ではKPIを設定して、その達成目指しています。KPIは応答率などの数値目標として設定されることが多く、その目標をクリアするために現場のオペレーターたちは日々努力しています。

しかし数値目標は、本当に達成すべきことを実現するための手段にすぎません。例えば、「応答率90%」というKPIの先には、「顧客満足度を上げる」「CX(顧客体験)を向上させる」「企業のブランド価値を向上させる」といった本質的な目的があるはずです。その本質的な目的を意識せずに、数字だけを追い求めることがお客様企業のためになるのだろうか──。そんな問題意識からスタートしたのが、〈事業所MVV〉の取り組みでした。

トランスコスモスは、「お客様第一主義」という理念を掲げています。その理念を実現するための方法の一つが〈事業所MVV〉である。そう言ってもいいと思います。

〈事業所MVV〉を策定することのメリットとは

〈事業所MVV〉を策定することによって、お客様企業、企業の顧客、現場のオペレーターやマネージャーのそれぞれにどのようなメリットがあるのかご説明ください。

尾崎〈事業所MVV〉があることで、お客様企業がコンタクトセンターに求めることが明確になり、それを実現するための現場運営ができるようになります。それがお客様企業にとっての一番のメリットであると考えられます。

例えば、お客様企業が「顧客に寄り添う応対をしてCX向上させたい」と考えているとします。では、「顧客に寄り添う」ということはどういうことなのか。その定義は企業によって異なるはずです。〈事業所MVV〉によってその定義が言語化され、センターの現場で何をすべきかが明らかになります。その結果、CX向上という目標に向かって現場が一丸となって行動できるようになります。

企業の顧客であるエンドユーザーのメリットはどのようなものですか。

坂本〈事業所MVV〉があることで、お客様企業のビジョンを達成するために必要な考え方、行動が現場の1人1人に浸透します。それによって、エンドユーザーへの応対品質の向上も期待できます。疑問が迅速に解消されたり、意見がしっかり伝わったり、あるいは電話の待ち時間が短くなったりする。そんな成果が生まれることが期待できるわけです。それがエンドユーザーにとってのメリットと言えると思います。

現場のオペレーターやマネージャーのメリットはいかがでしょうか。

小林自分たちがやるべきことが明確になり、日々の仕事に対する納得感が得られ、モチベーションが高まる。それが現場にとっての大きなメリットです。例えば、それぞれのコンタクトセンターには応対マニュアルがあります。そのマニュアルを順守することが現場には求められているのですが、マニュアルに定められたルールにどのような意味があるか普通はあまり考えないものです。しかし、〈事業所MVV〉とマニュアルが紐づくことによって、ルールの「意味」を踏まえながら、納得感をもって働けるようになります。

また、コンタクトセンターの重要な仕事の一つにVOC(顧客の声)の収集があります。〈事業所MVV〉でVOCの意義がしっかり定義されていれば、機械的に記録してお客様企業に報告するのではなく、「顧客の声をどのような価値に変えていくか」という意識をもって主体的にVOCを集めることができるようになります。それがお客様企業からも評価されて、働くモチベーションが高まる。そんな好循環が生まれると僕たちは考えています。

〈事業者MVV〉を
策定するプロセス

現在、〈事業者MVV〉はトランスコスモスが運営、あるいは運営支援をしているすべてのコンタクトセンターに導入されているそうですね。ここに至るまでには、いろいろな苦労もあったのではないでしょうか。

尾崎〈事業者MVV〉という考え方を社内で提案したのは2019年のことでした。「こういうものが必要だと思っていた」と言ってくれる人がいた一方で、売り上げなどの数字にすぐにつながる施策ではないという点に対する疑問の声もありました。現場における課題意識などを社内で丁寧に説明しながら、半年ほどかけて最初のフレームワークをつくりました。

その後、全国のコンタクトセンターを回って、〈事業所MVV〉の基本的な考え方を説明し、導入に向けた取り組みを後押ししました。大変な作業でしたが、絶対に必要な施策であるという信念があったので、苦労だとは感じませんでしたね。

〈事業者MVV〉を実際に策定していくプロセスをご説明ください。

尾崎最初にやらなければならないことは、お客様企業の経営理念、歴史、現在の事業環境などをしっかり理解することです。そこからビジョンを言語化していきます。お客様企業の経営のビジョンがそのまま〈事業所MVV〉におけるビジョンになるケースもありますし、経営ビジョンをブレイクダウンして新たにコンタクトセンター独自のビジョンを設定するケースもあります。

ビジョン考案の過程では、コンタクトセンターの現場のメンバーが参加するワークショップを開催したり、それまでに実施してきたお客様企業満足度調査の結果を見ながら、自分たちがやるべきことを改めて確認したりすることもあります。また、お客様企業側のご担当者にヒアリングをしたり、勉強会に参加していただいたりして企業理念の理解を深めていくこともあります。

小林〈事業所MVV〉策定の最初の段階から現場のメンバーが参加することがとても重要だと僕たちは考えています。自分たちの意見や考え方が反映されることによって、MVVを自分ごと化することができるからです。あらかじめ自分ごと化したMVVであれば、それを日々の業務の中で実現していこうというモチベーションも高まるはずです。

次がミッションの策定ですね。

尾崎コンタクトセンターの機能や役割は、企業によってさまざまです。お客様相談室なのか、受注センターなのか、修理受付センターなのか。そのそれぞれでコンタクトセンターに求められる機能も変わってきます。それを踏まえたうえで、コンタクトセンターの役割や存在意義を定義したものがミッションです。

そのビジョンとミッションを実現するために、TCIPのフレームに合わせて具体的な行動指針を策定していきます。それがバリューになります。

〈事業所MVV〉の詳細はこちら

〈事業所MVV〉が
現場の意識を高める

〈事業所MVV〉を導入することによって、コンタクトセンターの現場ではどのような変化が生まれていますか。

小林CXに対する意識が高まっていると感じます。以前は、コンタクトセンターにおける「応対品質の高さ」とはほぼ「応対の丁寧さ」を意味していました。しかし近年は、丁寧さよりも、迅速でスムーズでストレスの少ないコミュニケーションを求めるお客様が増えています。そのような傾向は「エフォートレス」という言葉でしばしば表現されます。

一方、時間がかかってもいいから丁寧に応対してほしいというお客様も依然一定数いらっしゃいます。つまり、コンタクトセンターに求める体験価値は人によって異なるということです。では、どのような体験価値が求められているのか。その答えはVOCの中にしかありません。VOCをしっかり受け止めて、求められるCXを提供し、その結果としてお客様企業の価値を高めていこう──。そのような意識を醸成するにあたって〈事業所MVV〉はたいへん役に立っていると思います。

尾崎企業の顧客であるエンドユーザーとの接点は、電話以外にメール、チャット、ウェブサイトなど非常に多様化しています。そんな中で、人が応対することの意味を明確にするのが〈事業所MVV〉であると言ってもいいと思います。人間だからこそできることを現場のメンバーが再確認できるようになったことも、〈事業所MVV〉導入の大きな成果ですね。

坂本トランスコスモスでは、VOCに加えて「VOE(Voice of Employee)/従業員の声)」を大切にしています。コンタクトセンターの運営を任せていただいている現場のメンバーは、お客様企業の代理人です。顧客の声をそのままお客様企業に伝えるのではなく、付加価値を加えてご提案していく。

ある通信系企業のコンタクトセンターに〈事業所MVV〉を導入してから、こんなことがありました。その企業では高齢者向けの安価なサービスプランを用意していて、センターでその申込みを受け付けていたのですが、現場のメンバーが「40代のユーザーからの申し込みが多い」ということに気づきました。調べてみると、40代のビジネスパーソンが、それまでメインで使ってきたプランに加えて、サブ的にそのプランに申し込むケースがあることがわかりました。それをVOEとしてお客様企業に提案したところ、「これまでまったくなかった視点だ」とたいへんな評価をいただきました。これも、〈事業所MVV〉によって「お客様企業に貢献する」という意識が高まった結果実現した成果と言えると思います。

コンタクトセンターは通常コストセンターと見られることが多いのが現状です。しかし、サービス改善や新商品開発につながるようなVOCやVOEをセンターから届けていくことによって、売り上げや利益を生み出すプロフィットセンターにしていくことが可能であると私たちは考えています。〈事業所MVV〉を浸透させることで、そんな動きが進んでいったら素晴らしいですよね。

※本記事に記載されている情報は、2024年2月時点のものです

[後編に続く]

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