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コンタクトセンターの
課題を整理し、
解決策を提示する

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.1

アセスメントサービス

顧客からの電話やメールでの問い合わせに対応するコンタクトセンター。企業活動においてその役割は年々重要になっています。たんに質問に答えるだけでなく、質の高いコミュニケーションによって顧客の満足度を上げ、企業の成長に寄与することがコンタクトセンターの理想的な役割です。では、そのようなコンタクトセンターを実現するにはどうすればいいのでしょうか──。最初に必要となるのが、現在の業務の課題を整理して、それを解決する道筋を見極めていく作業です。トランスコスモスは、独自の評価指標によってコンタクトセンターの現状を把握し、課題解決法をご提案する「アセスメントサービス」をご提供しています。このサービスを中心で担っているエグゼクティブコンサルタントの大山明子に、サービス内容や具体的な事例について聞きました。

STAFF PROFILE
大山 明子

大山 明子

トランスコスモス
DEC統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
事業推進本部 プロジェクト推進三部
エグゼクティブコンサルタント

トランスコスモスのアセスメントサービス、
その2つの特徴

アセスメントサービスの概要をご説明ください。

トランスコスモスが提供するコンタクトセンター支援サービスの最上流にあたるのがアセスメント、つまり現状を「評価」するサービスです。これは、お客様企業のコンタクトセンターの業務内容を精査し、課題点を洗い出す一種のコンサルティングサービスです。同様のサービスを提供している事業者はほかにもありますが、トランスコスモスのアセスメントサービスは、2つの点で非常に特徴的です。

1つは、「バランススコアカード」と私たちが呼んでいるアセスメント指標があることです。コンタクトセンターの現状を全26項目で診断し、それぞれを5段階で評価するのがバランススコアカードで、これによって問題点が可視化されるだけでなく、そこから具体的な解決策を見出すことが可能になります。また、コンタクトセンターの現場とそれを管轄する部署に関わるすべての皆さまが、共通言語をもって課題を把握することができるようになります。

バランススコアカードはトランスコスモス独自の指標なのですか。

そのとおりです。現場のオペレーションを評価する指標はほかにもありますが、コンタクトセンターのパフォーマンスを総合的に評価する指標は、私たちのバランススコアカードだけだと思います。バランススコアカードには、お客様企業の事業戦略と、そこから導き出されるコンタクトセンターのミッション、さらにそれを実現するためのKGI、 KPIを評価する視点が含まれています。このスコアが高いほど、「事業に寄与するコンタクトセンター」が実現しているということになります。

2点目の特徴についても説明してください。

アセスメントをして終わりではなく、そこから明らかになった課題の解決をトータルにお手伝いできる体制があることが2つ目の特徴です。具体的には、コンタクトセンター業務の委託、FAQやチャットの導入、各種ツールやソリューションの提供と導入支援、ツールの運用支援などのサービスをご提供することが可能です。お客様企業のコンタクトセンター業務を「オールトランス」によってご支援できること。それが私たちの大きな強みです。

アセスメントサービスは、どのような業界、どのような業種業態の企業にとくに役立てていただけるのでしょうか。

業界や業種を問わず、コンタクトセンターを展開していらっしゃるあらゆる企業に役立てていただけます。とくに、「自社のコンタクトセンターのオペレーションマネジメントのレベルを客観的に把握したい」「現行の体制を変えたいが、どこから着手したらよいかわからない」「部分委託を進めたいが、どの業務を委託すればよいかわからない」「デジタル化、オペレーターの在宅化を促進したい」──。そういった課題があれば、確実に解決策をご提示することが可能です。

新規サービスの
サポート体制構築を支援する

これまでのアセスメントサービスの活用事例を紹介してください。

最近私たちが関わらせていただいた5つの事例と、それぞれの取り組みの特徴をご説明していきたいと思います。

1つめは運輸業界のお客様企業です。同社は、スマートフォンアプリを活用した新しいペイメントサービスを開始するにあたって、そのサービス専用のコンタクトセンターを立ち上げたいというご要望をお持ちでした。難しかったのは、さまざまな立場の人が数多く関わるプロジェクトだったことと、ユーザーサポートの体制づくりをサービス構築と並行して進めなければならなかったことです。

私たちはまず、タスクの抜け漏れや関係者間の認識のずれを防ぐために、サービスの全体図を描きました。その図を踏まえて、弊社内のコンタクトセンターの担当者や、FAQ構築を担当するDX推進部門のメンバーにも加わってもらいながら、比較的短期間でサポート体制を構築しました。先ほどお話しした「オールトランス」の力が存分に発揮された案件だったと思います。現在は、サポート業務を全面的に委託していただき、サービスの円滑な運用を支援させていただいています。

コロナ禍の中でコンタクトセンターの役割を再定義する

2つめは、旅行代理店のお客様企業の事例です。コロナ禍で最も大きな打撃を受けた業界の1つが旅行・観光業界でした。旅行客が激減し、店舗に足を運ぶ人もほとんどいない中で、コンタクトセンターの機能を見直す作業に私たちは参加させていただきました。

従来、旅行代理店のコンタクトセンターの第一の仕事は、旅行予約への対応でした。しかし、旅行の前、旅行の最中、旅行のあと、さらに次の旅行というカスタマージャーニー全体を見渡せば、コンタクトセンターが果たせる役割はほかにもあります。コロナ禍以降の新しいカスタマージャーニーを描き、そこにおけるコンタクトセンターの役割を再定義すること。それが、この案件で私たちがお手伝いをさせていただいた内容です。

取り組みの結果、コンタクトセンターの「あるべき姿」が明確になりました。しかし、「あるべき姿」は往々にして絵に描いた餅になりがちです。そこで、センターをその姿に近づけるために現実的に何ができるのかを検討し、具体的なサービス設計、オペレーション設計、費用の試算なども支援させていただきました。私のこれまでの25年ほどのキャリアの中でトップクラスに難しい仕事でしたが、スキルをフルに活用してお客様企業に満足していただけるご提案ができたと自負しています。

雑多な要素を整理して、課題の解像度を上げる

3つめは金融系のお客様企業のコンタクトセンターのアセスメント事例です。金融機関には非常に幅広い顧客サポート業務があるのですが、このお客さまのコンタクトセンターには4つのチームがあって、それぞれが別の業務を担当されていました。時期によってチーム間には仕事の繁閑差があるのですが、人員は固定されているので、そのときどきの業務量に応じた柔軟な対応ができていないという課題がありました。

まず、先ほどご説明したバランススコアカードでセンター全体のパフォーマンスを診断させていただいたところ、残念ながら決してよいとは言えない結果となりました。その結果を受けて、それぞれのチームの業務内容を整理し、現状と改善ポイントを可視化したうえで、最適化のご提案をさせていただきました。雑多な要素を整理して、課題の解像度を上げる。そのようなアセスメントサービスの機能をご提供できたと思います。

次が4つめの事例ですね。

4つめは流通系のお客様企業です。同じ業態の店舗を展開している他の3社を傘下に収めたことで、コンタクトセンターを一本化する必要がある。そんなご要望からスタートした事例でした。

系列に入った他の3社にもそれぞれコンタクトセンターがあったのですが、運営方法やオペレーション業務はまちまちでした。そこで、私たちは各センターの現地調査をさせていただき、それぞれの業務を比較して相違点や共通点を明らかにしていきました。最終的に、親会社の「お客さま相談室」にサポートの機能を一本化し、共通のCRM基盤や、FAQ、チャットの仕組みなどを導入するところまで支援させていただきました。これもまさに、「オールトランス」で新しいコンタクトセンター構築のお手伝いをしたケースと言えます。

コンタクトセンターにも
MVVが必要

最後は、不動産系のお客様企業の事例です。一般に、コンタクトセンターでは、CPH(Call Per Hour=1人のオペレーターが1時間当たりで対応したコール件数)などの数値目標を定めています。そのお客さまのセンターでは、かなり高めのCPHの目標を掲げていらっしゃいました。しかし、それがなかなか達成されないことがお客さまのお悩みでした。

この案件でも私たちは現地調査をしたうえで、センターのパフォーマンスを上げるためのご提案をさせていただきました。ご提案のコアにあったのは、「コンタクトセンターにはミッションが必要」という視点です。最近ではMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)などとも言いますが、これがないとセンターで達成されるべきKGIもKPIが定まりません。つまり、目的や目標がわからないということです。その状態でCPHなどの細かな数値目標を決めても、目標値の根拠が不明確なので、それを達成しようというモチベーションが現場に生まれないのです。CPHを決めるなら、それによってどのようなKGIが達成され、それがどのように事業成果に結びつくかを明確にしなければなりません。

MVVを明確に定義する企業が増えていますが、個々のコンタクトセンターにもMVVが必要なのですね。

必要です。企業のMVV、あるいは企業理念をブレークダウンして、コンタクトセンターが目指すべき方向性や、達成すべき目標を定めたものがセンターのMVVです。私たちはその「事業所MVV」をベースにして、お客様企業と日々の業務に取り組んでいます。これがあることで、現場のオペレーターの皆さんに「自分たちは会社のビジョンを達成するための重要な仕事をしている」という意識が生まれます。それによって、現場のパフォーマンスは大きく変わります。

このお客さまのケースでは、その考え方を中心にして、具体的な改善策とそれを実現するステップ、詳細なスケジュール案をご提案しました。その後、トランスコスモスがコンタクトセンターの業務を一部受託させていただき、MVV達成のパートナーとして伴走を続けています。

提案はアクションに
つながらなければ意味がない

アセスメントサービスに要する期間はどのくらいなのですか。

ケースにもよりますが、2カ月程度と考えていただければよいと思います。まず、お客様企業から現状を把握するための事前資料をご提出いただき、質問票への記入、現地調査、現状の分析と課題の整理、レポート作成といったプロセスを経て、最後にお客様企業に改善案をご提案する──。おおむねそのような流れになっています。

これまで実施したアセスメントに対し、お客様企業からはどのような評価や反応をいただいていますか。

最も多いのは、「コンタクトセンター業務の全体像と、オペレーションのプロセスが可視化され、課題が明確になった」「デジタル化を進めるにあたってのポイントや留意点が明確になった」といったご評価ですね。ほかにも、「改善策が具体的で、わかりやすく、すぐに実行できそうなものだった」といったお言葉もよく頂戴します。私たちは、「ご提案は実際のアクションにつながらなければ意味がない」と常々考えているので、とても嬉しいお言葉です。

アセスメントを実施するにあたって、お客様企業側のご担当者や、現場のスタッフの皆さんに協力していただくことが必要な場合もありそうですね。

そのとおりです。ここまで何度か触れてきましたが、私たちは現地調査によってオペレーターの皆さんのお仕事の様子を見せていただいたり、生の声をお聞きしたりすることを非常に重視しています。その作業に可能な限りご協力いただくことが必須であると考えています。

現地調査はオペレーターの皆さんの仕事場にお邪魔することになるのですが、お話をすると、「コンサルが来ると聞いていぶかしく思っていたが、日頃の思いや苦労を聞いてもらって助かった」「困っている点をわかりやすく整理してもらえた」という感想をいただくことが少なくありません。「自分の声を聞いてほしい」と考えていらっしゃる方々が多いことを、現地調査をするたびに感じますね。

「コストセンター」ではなく「戦略拠点」

お客様企業にサービスをご提供する際に大切にしていることは何ですか。

私の願いは「コンタクトセンターの地位を上げること」です。コンタクトセンターは、企業と顧客との直接の接点であり、顧客の要望や困りごとを具体的に聞くことができる極めて重要なチャネルです。そこで得られた顧客の生の声から、事業改善や事業成長につながるヒントが得られる可能性が大いにあります。

コンタクトセンターはコストセンターと考えられることが多く、「いかにコストを下げるか」という視点のみで業務が捉えられるケースも少なくありません。しかし私は、「コンタクトセンターは、企業に大きな収益をもたらす起点となる戦略拠点である」と考えています。アセスメントサービスを通じてその考え方をお客様企業お伝えしていくことが、エグゼクティブコンサルタントとしての私自身のミッションである。それが私の信念です。

コンタクトセンターを支えている一人ひとりのオペレーターの皆さんへの思いを最後に聞かせてください。

オペレーターのお仕事に誇りを持っていただきたいですね。顧客の千差万別な声を聞いて、それぞれに対してその場で最善な対応をし、短時間で困りごとを解決する──。それができるのは本当にすごいことです。今後どれだけAIが進化しても、本当に重要な仕事はプロのオペレーターにしかできない。そう私は思います。

コンタクトセンターに共通する課題は「CX」と「DX」であると言われます。つまり、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の向上と、デジタルトランスフォーメーションの実現です。私はこれに「EX(エンプロイーエクスペリエンス)」の向上を加えるべきであると考えています。つまり、従業員(エンプロイー)の皆さん、オペレーターの皆さんがよりよく働ける環境を実現するという視点です。それがなければ、コンタクトセンターのパフォーマンスが大きく改善されることはないと思います。CX、DX、EXのすべての課題を解決するために、これからも全力でお客様企業をご支援していきたいですね。

※本記事に記載されている情報は、2022年11月時点のものです

トランスコスモスはお客様企業のビジネスを成功させるため、あらゆる形で支援します。
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