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チャットボットを活用し
教育ローン活用の
不安や疑問を解消する

──オペレーション効率化と
顧客満足度向上を同時に実現──

日本政策金融公庫様×トランスコスモス

コロナ禍における「教育ローンコールセンター」の人材マネジメントと、顧客とのコミュニケーションチャネルの拡張。日本政策金融公庫様の教育ローン事業におけるその2つの課題を同時に解決したのが、チャットボットの導入でした。教育資金を必要とする人たちの不安や疑問をいかに解消するか──。そんな思いをもって取り組んだチャットボットの構築と導入による成果について、教育ローン事業を担当されている金田悠平氏と教育ローンコールセンターの所長である請川敬洋氏に弊社担当者との座談会形式でお話しいただきました。

教育ローンを必要とする
一人ひとりの顧客に丁寧に対応する

国の教育ローンの事業内容をご説明いただけますか。

金田日本政策金融公庫の融資制度の1つに、お子さまへの教育費用を必要としていらっしゃる保護者の方々などに対し、融資といった形でご支援している「国の教育ローン」があります。大学進学率が年々上がっている一方、コロナの影響でご収入が減少している方や物価上昇の影響で支出が増加している方なども少なくなく、貯蓄のみで教育費負担を賄える方ばかりではありません。そういった方々に教育費を賄う選択肢の一つとして「国の教育ローン」が存在していることを広く知っていただき、制度の創設目的である「家庭の経済的負担の軽減」及び「教育の機会均等」を的確に遂行することが、私の所属する部署の最大のミッションです。

教育ローン事業における教育ローンコールセンターの役割をお聞かせください。

請川教育ローンのご活用には、検討、相談、申込み、審査、契約、融資実行、返済といった段階がありますが、その中でとくに検討から申込みのフェーズでのお問い合わせに対応するのが教育ローンコールセンターの主な業務です。このフェーズでお客さまの不安や疑問を解消し、審査へのスムーズな移行をお手伝いすることが私たちの役割であると考えています。

請川さんが教育ローンコールセンターの所長に就任されたのは令和4年(2022年)8月とのことです。所長としてお仕事の中で大切にされていることは何ですか。

請川センターに寄せられるご相談の内容はそれぞれのご家庭の事情などによってさまざまです。また、申込みにあたってはお客さまごとのご事情に応じた書類をご用意いただく必要があります。そういった個別ケースに一つ一つ丁寧にご対応することが何より大切であると考えています。センター全体としては、「ホスピタリティの追求」を大きな目標に掲げています。お客さまの立場に立って考え、お客さまに喜んでいただき、「ありがとう」と言っていただくこと。それを私たちは日々目指しています。

チャットボットの導入で
2つの課題の解決を目指す

トランスコスモスが日本政策金融公庫様の教育ローンコールセンター業務をご支援するようになったのはいつからですか。

藤原10年以上前からですね。過去にもオペレーターの派遣などの支援をさせていただいたことがありましたが、3年ほど前にコロナが流行したタイミングで、「センター内で安心して働ける環境を整備したい」というご相談を頂戴し、それに対する解決策を提案させていただきました。

金田教育ローンコールセンターの業務には発声がともなうので、物理的な感染防止の対応を万全にしても感染のリスクをゼロにするのは困難です。そこで、業務の自動化を進めて、オペレーター同士が安心して業務に従事できる環境を整備したい、という相談をさせていただきました。

請川それに加えて、教育ローンコールセンターになかなか連絡が取れないという方への対応が必要という課題もありました。センターでは、平日の9時から19時まで電話受付を行っているのですが、仕事などの関係でその時間に電話をかけるのが難しいという方々もいらっしゃいます。そういった方々が夜間や週末に問い合わせできる窓口を用意できないか。それがコロナ以前からの課題でした。

金田業務の一部自動化により、オペレーターが安心して従事できる業務環境の整備をすること。電話受付時間以外でも、お客さまが疑問を自己解決できる仕組みをご提供すること。その2つの課題解決について、専門的な知見を有する複数の企業のご提案を参考にさせていただきながら、検討を進めました。

そのような課題にトランスコスモス側はどう応えたのでしょうか。

藤原トランスコスモスからは、現状を把握するための調査をご提案しました。お客さまからの電話での問い合わせのログ、SNS上での「教育ローン」などに関する話題や意見、ホームページにおける動線などを調べ、どの部分を自動化できるかを検討しましょうという提案です。その提案を受け入れていただき、調査の結果をもとに合計で10通りほどの解決策をご提示しました。

金田他社様も含めかなりのご提案を頂戴しましたが、とくに課題解決に有力であると考えられたのがチャットボットの活用でした。チャットボットによってコミュニケーションの一部を自動化することによって、電話受付時間外での対応も可能になるからです。また、チャットボットをご用意することで、これまで時間などさまざまな制約でセンターにご相談いただけなかった新たな層のお客さまからご相談をいただくこともできると考えました。

最小限のアクションで
回答にたどり着く仕組みをつくる

デジタルツールの導入によって、感染防止と顧客の利便性向上の両方を実現しようとしたわけですね。この施策を実現するにあたって、とくに苦労したのはどのような点でしたか。

灘波従来のデジタル接点であったホームページの利用状況を調べたところ、アクセスしてきている方々の多くは新規のユーザーであることがわかりました。そこで、新たに導入するチャットボットは新規ユーザーの方にできるだけわかりやすい内容にすることが必要であると考えました。

チャットボットの構造は階層になっています。入り口から入り、ボタンを選択しながらピラミッド状の階層を進んでいくという構造です。この階層を深くしすぎてしまうと、とくに新規のユーザーの多くは途中で離脱してしまうことになります。そこで、階層を3段階に抑えて、できるだけ早い段階で回答を提示できる構造を目指しました。しかし、階層を浅くすると、それだけ一階層における選択肢が増えることになります。

ピラミッドが横に広がってしまうわけですね。

灘波そのとおりです。選択するボタンが増えて直観的な視認性が損なわれる可能性が出てきます。そのために、選択肢をできるだけわかりやすくして、視認性を下げない工夫をしました。選択肢の設計の作業では、金田さんと何度も相談しながら時間をかけて制作しました。

金田階層を3つに抑えるということは、最大3回の選択で求める回答にたどり着く仕組みをつくらなければならないということです。それを実現するためには、お客さまのご相談内容に確実にヒットする選択肢をつくることが必要です。そこにかなり時間をかけました。

またチャットボットには、ボタンを選択する以外に、お客さまにテキストを入力していただき、それに対して回答を表示するという仕組みがあります。この場合、同じ質問でもいろいろな言い回しがあるので、一つのお問い合わせ内容に対して10種類くらいの言い回しを用意して回答と結びつけました。この作業にも時間がかかりましたね。

実現した課題解決策は、チャットボット導入だけだったのですか。

藤原もう一つ、ホームページの改善も提案しました。ホームページを調査したところ、必要な情報は掲載されていても、ユーザーの目的ごとの動線設計がしっかりできていないという問題があることがわかりました。例えば、教育ローン活用を検討している方と、すでに申込みを決めている方では、必要とする情報は異なります。問い合わせされる方のニーズに合った動線をつくることで、お客さまの自己解決力が上がり、センターへ来電いただく手間を減らすことができる。そう私たちは考えました。

金田調査していただいた結果では、ホームページにアクセスした人の離脱率、とりわけ、トップページだけで情報閲覧をやめてしまう直帰率が高いことがわかりました。いかにホームページの利便性を上げて、多くの方々に参考にしていただくか。調査の結果を踏まえてホームページの構成を見直しているところです。

継続的な改善で
高い自己解決率を実現する

チャットボットにおける課題解決策の成果についてお聞かせください。

灘波チャットボットの中にアンケートがあり、お客さまが回答にたどり着いたあとにお役に立てたかどうかをお聞きするのですが、その数値がおよそ80%と非常に高い数値になっています。

藤原私たちはそれをチャットボット解決率と呼んでいますが、一般的なケースだと、チャットボット解決率は30%から高くても50%くらいが多いです。低い場合は5%程度の場合もあります。それを踏まえると、80%というのは驚異的な数値と言っていいと思います。

なぜそれほど高い数値を実現できているのでしょうか。

灘波先ほどもお話したとおり、日本政策金融公庫の皆さまと、選択肢や回答内容を徹底的につくりこんだ状態でチャットボットを稼働させたことが大きな要因だと思います。また、アンケートで「回答内容に満足できなかった」と回答したお客さまがどういった質問をしているかを確認し、回答の文言を修正したり、ボットの構造を改善したりする取り組みも導入以降ずっと継続しています。そのような取り組みもまた成果に結びついていると考えています。

藤原こちらからの改善提案に対して、スピーディに判断して回答案をご返答いただけるので、PDCAサイクルをかなり高速に回すことができています。

金田ほかにも例えば、ホームページに滞在している方が一定時間アクションを起こさなかった場合、「お困りの内容をお選びください」という吹き出しが自動で出て、チャットボット側からお客さまに質問を投げかけていく仕組みを作ったところ、1日あたりのご利用件数が前年同月のおよそ130%増となりました。チャットボットがスタートしたのは2022年1月でしたが、それからの1年ほどの間にかなりブラッシュアップされていますね。

灘波金田さんはじめ日本政策金融公庫の皆さまが見つかった課題に対し非常に迅速に動かれていることが、まさに高い自己解決率や流入数の増加に直結していると思います。

夜間や週末のチャットボットの利用動向はいかがですか。

金田夜間や週末にも多くの方々にご利用いただいています。また、平日の朝の通勤時間帯の利用率が高くなっています。これまでしっかりフォローできていなかったお客さまに対応できているという確かな実感があります。

請川電話をかける前にある程度疑問を解決しておくためにチャットボットをご活用いただくというケースも多いようです。ボットで事前知識を得たうえで電話をしていただければ、コミュニケーションがスムーズになり、お客さまとオペレーター両者の負荷が下がります。それもまた、チャットボット導入の成果と言えると思います。

DXを推進し
お客さまの利便性向上を目指す

それらの課題解決にあたって、トランスコスモスはどのようなサポートをご提供することができたとお考えですか。

金田その瞬間のみならず、先々を見通したご提案をいただいていると感じます。私たちの業務内容をしっかり理解し、テクノロジーの要件を踏まえたうえで、どのようなアプローチが適切かを細かく検討していただいています。チャットボットの改善のご提案内容にも納得できるものが多いですね。

請川私たちの事業やシステムだけでなく、ほかの金融機関の動向などにも目を配ってご提案していただいています。業務を理解しようと努力し、幅広い視野で提案内容を考えていただいている。そんな印象があります。

藤原私たちとしては、こちらのご提案をそのつど真摯に受け止めていただけていることがとてもありがたいですね。ご提案することがこれほど楽しい案件はそう多くはありません。

灘波この案件では「ユーザー目線に立ったときに何が求められるか」という意識を共有するワンチームとして動けていると感じます。チャットボット解決率の80%という数字も、まさにチームプレイによるものだと思います。

現在の足元の取り組みと、今後の見通しをお聞かせください。

金田チャットボットでは対応しきれない複雑なお問い合わせに対応するため、「有人によるチャットサービス」の検討を進めており、2023年2月1日に稼働開始の運びとなりました。80%という数字が先ほどから何度が出てきていますが、別の見方をすれば、20%のお客さまにはまだ満足していただけていないということです。そこで、ボットによる自動回答だけではなく、オペレーターとのテキストのやり取りによるチャットの仕組みを導入することにしました。

請川最近とくに若年層には電話を避ける方も増えてきていると言われています。そういった方々でも、チャットであれば気軽にコミュニケーションができるはずです。その点でも有人チャットサービスは有用であると考えています。

藤原有人チャットサービスの場合、オペレーターには電話でのコミュニケーションとは異なるスキルも求められます。例えば、電話では何度も言葉をやり取りすることができますが、チャットでは3往復程度のやり取りでお客さまの意図を理解して適切な回答を提示することが必要であると言われています。そういったスキルをオペレーターの皆さんに身につけてもらうために、トランスコスモスでは「チャットオペレーション実務能力認定」 の仕組みを独自に構築しています。これまで約1700人以上の方が認定を取得しています。そのような人材育成のノウハウも、引き続きご提案していきたいと考えています。

金田ほかにも「ボイスボット」というサービスにも着目しています。これはAIの音声で電話対応するというもので、金融機関での使用例も増えてきていると聞いています。こういったテクノロジーの導入も前向きに検討していきたいですね。

請川電話でのやり取りを自動でテキスト化して、そこからお客さまの感情を読み取るソリューションも提供されているとのことです。このようなツールがあれば、現場のコミュニケーションレベルを上げて、お客さま満足度も向上させられると思います。

トランスコスモスは、教育ローンコールセンター支援ベンダーとしてだけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)のパートナーとしても貢献していけそうですね。

金田チャットボット導入はまさにDXの一環です。このような取り組みを今後も継続していく必要があると考えています。私たちは政策金融機関として、プロジェクトの都度の入札を実施しています。そのため、一社と継続的なパートナーシップをつくれるとは限りませんが、今後も案件を依頼させていただいた場合にはトランスコスモスのご助力をいただければありがたいと思っています。

灘波私たち自身は、まずはチャットボットでの顧客満足度をさらに上げることをしっかり目指していきたいと思います。

藤原教育ローンをご利用いただく皆さまの利便性を高めることが国の教育ローンの制度周知にも繋がる。そう私たちは考えています。今後も機会があれば、お客さまの利便性向上のための新しい提案をぜひさせていただきたいですね。

請川政策金融機関として「家庭の経済的負担の軽減」及び「教育の機会均等」を的確に遂行していくために、今後も外部の委託業者の皆さまのお力をお借りしながら、お客さまのための教育ローンコールセンターづくりに取り組んでいきたいと思います。

※本記事に記載されている情報は、2023年2月時点のものです

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