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顧客の“集合知”を活かすならSNSよりコミュニティをつくるべき

「自社のサービスや製品をリピートしてもらう」。BtoBやBtoCに関わらず、あらゆる企業にとって顧客と長期的な関係を構築することは大切です。そのために、カスタマーサクセスに力を入れている企業も少なくありません。しかし、リソースに限りがある中、顧客の一人ひとりに満足してもらえるようにサポートを提供することは容易でないでしょう。顧客数が増加するほどリソース不足に陥ります。そこで近年、注目されているのが顧客のエンゲージメントを高め、顧客が課題を自己解決できる仕組みを作る方法です。
顧客のエンゲージメントを高めるための方法として代表的なのは、SNSで顧客と双方向のコミュニケーションを取ることです。実際、多くの企業がTwitterやInstagramに公式アカウントを開設しています。しかし、自社を応援してくれる「意欲的な顧客」をより増やすためには、SNSよりユーザーコミュニティを形成すべきでしょう。ユーザーコミュニティでは、顧客は顧客たちの手で質問への回答や情報の共有、あるいはサービスや商品の改善点を話し合うなどしてエンゲージメントを高めていきます。そして、時として企業に新たなイノベーションをもたらしてくれるのです。

「エンゲージメント」は直訳で「約束・契約」ですが、マーケティングでは「愛情」や「思い入れ」という意味で用いられます。好意や満足といった感情から、一歩進んだ感情といえます。企業のブランドやサービス、商品へのエンゲージメントが高い顧客は、熱心なリピーターになったり、家族や知人にクチコミで勧めてくれたりと、企業の成長を応援してくれるようになります。アスリートやアーティストを応援する「ファン」のようなイメージで捉えるとわかりやすいと思います。

これまでの企業は、顧客のエンゲージメントを高めるために、テレビやラジオ、雑誌などのメディアやホームページを通した情報発信を行ってきました。これは、不特定多数の顧客に対する一方通行のコミュニケーションといえるでしょう。商店街やスーパーなど買い物をする場所が限定され、商品の選択肢もそれほどではなかった時代では有効な活動でした。その後、インターネットの発達により、顧客の情報収集力は向上し、商品の選択肢も多彩になりました。「顧客は何を欲しているのか」の把握がマーケティングの鍵となる中、企業と顧客のコミュニケーションは一方通行から双方向へと変化します。
その変化を後押ししたのがTwitterやInstagramなどのSNSです。企業はユーザーの一人としてソーシャルネットワークに参加し、顧客やユーザーと交流。親近感を高めて、顧客エンゲージメントの向上を図りました。ただし、このSNSによるコミュニケーションにも幾つかのデメリットがあります。

1.管理の難しさ

TwitterやInstagramなど、他社が提供するプラットフォームでは活動が制限されます。自社にとってよりアクティブな行動を行う顧客の抽出や、その動向の把握も困難になるでしょう。ユーザーインタフェイスやマネジメントシステムのアップデートなどもプラットフォーム提供会社に依存する状態になります。

2.ストック型情報の共有には不向き

SNS上で顧客にアンケートを取ることは可能です。しかし、そこで得られた情報はすぐに、別の情報に押し流されてしまうでしょう。少しの間ログインしていなかっただけで、顧客は情報の流れから取り残されてしまうことになります。また、SNSではあらゆる情報が平面的に扱われます。どれが重要なのか、ひと目で認識しにくいことも情報の共有に不向きな理由です。

3.顧客の一体感に乏しい

エンゲージメントの高い顧客は、企業にさまざまなアイデアを提供してくれます。企業のアカウントに自分の意見を送り、レスポンスがもらえればさらにエンゲージメントが高まるでしょう。もっとも、そのような意見は顧客が個人的に抱いている感想でしかないという事実も否定できません。SNSユーザーにとってSNSは、自分の身の回りのことを発信することが第1の目的になっているからです。だからフォロワー間での活発な交流は発生しにくく、仮に生まれたとしても単発的なもので終わりがちです。

顧客と双方向のコミュニケーションを取るツールとして、SNSは確かに優秀です。ただし、そこで行われるコミュニケーションは企業と顧客が1対1で交わすものと大差ありません。せっかくエンゲージメントの高い顧客がグループを形成しているにも関わらず、1対1でのコミュニケーションだけに活用するのはもったいないといえるでしょう。その意欲をさらに醸成させ、企業やサービス、商品へのエンゲージメント向上につなげるべきです。そのときに効果的なのが、ユーザーコミュニティの形成です。

企業が形成するユーザーコミュニティの多くは現在、サービスや商品に関する疑問を顧客に自己解決してもらうために利用されています。たとえばAppleやGoogleは製品/サービスの操作に関する疑問を、ユーザーコミュニティで受け付けています。疑問を抱いたユーザーはコミュニティに参加し、ケースを投稿。回答はスタッフだけでなく、同様のケースを解決した経験のある他のユーザーも自由に行います。
ユーザーコミュニティには日々多数のケースとその回答が投稿されます。その中で、ケースの解決にアクティブに参加しているユーザーも出てくるでしょう。それは自社のブランドやサービス、商品の良き理解者といえます。彼らの動向をチェックし、意見に耳を傾けることは重要です。自社のプラットフォームならば、どのユーザーが積極的に行動しているのかを発見し、そのデータを抽出することも簡単に行なえます。

Twitterで寄せられた質問に対してリツイートで返信する。あるいは、電話で受けた質問に対し、口頭で回答する。それは質問者である顧客に満足を与えても、同様の悩みを抱える他の顧客には影響を及ぼしません。
一方、ユーザーコミュニティに投稿された質問や回答は、事例としてユーザーコミュニティ内に蓄積されていきます。ユーザーから投稿された質問が多ければ多いほど、将来の新規ユーザーはユーザーコミュニティ内を検索するだけで、求める情報や回答を得ることができるようになります。また、よくある質問をピックアップしたり、Q&Aを事前に体系化してWebサイトに掲載したり、蓄積された大量の情報をわかりやすく共有することができます。

たとえば、芸能人のファンクラブに所属する人たちが強い連帯感を持つように、独自のユーザーコミュニティを形成することは顧客の帰属意識を育みます。そして、その帰属意識はさらなるユーザーコミュニティの発展、つまり応援する企業やサービス、商品の発展を共通の目的とした行動を生み出します。その行動は、企業と顧客間だけでやりとりされるものではなく、顧客同士でも行われます。「現行サービスの改善点はどこなのか」などのテーマで、顧客たちが自由に意見を交わし合うイメージです。オンライン上のユーザーコミュニティでは、社会的な立場や思想、性別や国籍、年齢を超えた交流が継続的に行われます。そこから生まれた意見は、時として企業に新たなイノベーションをもたらすヒントになり得るでしょう。エンゲージメントの高い顧客を中心にユーザーコミュニティを形成し、活発な交流を促進することでさまざまなノウハウを集合知化させる。そうすることでユーザーコミュニティは単なるファンサイトから、重要な戦略的価値を持つようになります。

企業にとって顧客は、ターゲットからパートナーへと変わりつつあります。それは、企業だけではイノベーションを起こすのが難しくなっているからです。経済のグローバル化が進んでいる現在、組織単体による活動には限界があります。固定観念にとらわれない革新的なアイデアを求めるには、集合知の活用は欠かせません。
集合知を生み出すユーザーコミュニティをつくるには、「強い目的意識とその共有」や「運営者による適切な管理」、「内的な動機づけ」など、幾つかの要素があります。現在のリソースだけで顧客のエンゲージメントを高めることや、イノベーションを起こすことに限界を感じている方は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。

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