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VRマーケティングとは?業界別の活用事例9選
VRの技術は、アニメやゲームなどのエンターテイメント分野だけでなく、今や商品やブランドのマーケティングやプロモーション、ストーリーテリングに活用する企業も珍しくなくなりました。VR技術を活用することで、企業や自治体は商品やサービス、施設の魅力をリアルに届けることができます。この記事では、マーケティングにVRを活用するメリットや、業界別の活用事例をご紹介します。
1.VRとは
VR(Virtual=仮想、Reality=現実)は日本語で“仮想現実”です。さらにVRゴーグルを装着してVRコンテンツを再生することで、実際の体験に近い感覚が得られます。なぜVRゴーグルを装着するとそのような感覚になれるのかというと、映像にリアリティを持たせるためにレンズを通して左右異なる映像を出しているからです。人間の目と同じ「視差」を再現しているので、没入感の高いコンテンツになるのです。
2.VRをマーケティングに活用するメリット
VRをマーケティングに活用するメリットを解説します。
2-1.リアルな顧客体験を届けられる
VRの大きな特徴は、何といっても疑似体験ができることです。プロモーションしたい商品やサービス、施設をVR空間で体験してもらうことで、リアルな顧客体験を提供できます。たとえば、旅行・観光業であれば、「旅マエ(旅行に行く前)」の意思決定を促すプロモーションツールとして活用したり、ホテル・宿泊施設ではリアルな雰囲気を伝えることで安心感・期待感につながり、予約件数の向上が見込めたり、不動産業界では実際にモデルルームに行く前の下見や、遠くていけないという方に効果的にアプローチができます。
2-2.時間や距離の制約がない
VRであれば、いつでも、どこにいてもユーザーに疑似体験を届けられるのが魅力です。目的地に下見に行くのはハードルが高いですが、VRであれば自宅にいながら見てもらえます。360°VR動画や静止画はスマートフォンさえあれば視聴できるタイプが増えているので、SNSやWebサイトでの情報収集と同じ感覚で使ってもらうことができるでしょう。
2-3.商品やランドの価値を「体験」として直接刻み込める
商品・サービスの購入前にVRで疑似体験をしてもらうことで、「イメージと違った」というギャップを生みにくく、満足度向上に貢献します。また、仮想空間でブランドの世界観を表現することで、コンセプトやブランドストーリーまでも直感的に伝えられ、商品・サービスをより魅力的に見せることもできます。商品やブランドの価値を「体験」として顧客の心に直接刻みこむVRは、デジタル上で顧客との交流を深める有効な手法です。
3.VRの体験手段
続いて、マーケティングでVRを活用する際に、どのような届け方があるのかをご紹介します。目的別に2つのパターンをご紹介します。
3-1.大勢の方にVRを届けたい場合
VRを大勢の方に届けたい場合、多くの方が所有しているパソコンやスマートフォンで体験できるコンテンツを用意するとよいでしょう。本格的なVR体験ができるヘッドマウントディスプレイは、一台当たりの単価が高いことや、デバイスとして広く普及していないというデメリットがあるため、大勢向きではありません。
3-2.没入感のあるリアルな体験を届けたい場合
本格的なVR体験で商品やサービスの魅力を伝えたいという場合には、Meta Questのようなヘッドマウントディスプレイを用意するとよいでしょう。ヘッドマウントディスプレイは、社内の展示ルームで常設、イベント会場での設置、商談の際の疑似体験ツールなど、一台持っておくとさまざまな活用方法ができます。
4.VRマーケティングの活用事例
ここからは、業界別のVRマーケティング活用事例をご紹介します。
4-1.観光出典:長野県箕輪町360°VR静止画ツアー
紅葉の名所で有名な長野県箕輪町は特設サイトを作り、360°VR動画と360°VR静止画ツアーのコンテンツを公開しています。上空から撮影した鮮やかな紅葉の景色は圧巻。VRだからこそ景色を独り占めして歩いているかのように堪能することができます。また、スマホ連動型のVRゴーグルに対応しており、VRコンテンツの世界観を届けています。
4-2.ホテル・宿泊施設出典:The Westin Rusutsu Resort 360°VIRTUAL TOUR
北海道にある「ウェスティン ルスツリゾート」は、静止画タイプの360°バーチャルツアーを公式サイトで公開しています。開放的なロビーやメゾネットの客室のレイアウトはもちろん、窓から見える景色も360°見ることができ、滞在中の様子を具体的にイメージできるでしょう。また、大浴場では脱衣所の広さやサウナの有無なども、バーチャルツアーでじっくりと確認が可能。解説は日本語・英語に対応しており、海外客へのプロモーションも視野に入れたバーチャルツアーです。
4-3.大学・専門学校出典:早稲田大学VRキャンパスツアー
「早稲田大学」もVRキャンパスツアーを導入しています。早稲田大学では、4つのキャンパスごとにVRツアーを公開。見たいキャンパス名をクリックするとVRツアーが始まります。それぞれのVRツアーには現役学生による音声ガイドがついており、案内を聞きながらオープンキャンパスを楽しめます。説明を受けながら校内を見て回れるので、実際にオープンキャンパスに参加している感覚で体験できます。
4-4.製造出典:アサヒスーパードライVR工場見学
アサヒビール株式会社は、ビール飲用価値の再発見と特別な体験を演出する施策として、オンライン上で体験できる「アサヒスーパードライVR工場見学」を特設WEBサイトで公開しています。VR技術やCG技術を活用して、自宅にいながら工場見学を3Dビュー映像で体験できます。さらにVRゴーグルを装着すると、通常のビール工場見学では見ることのできない製造設備の内部など『アサヒスーパードライ』の製造工程を、頭の動きに合わせて360°展開される3Dのバーチャル映像で楽しめます。
4-5.自動車出典:バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」
日産自動車株式会社は、「VRChat」にバーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」を公開しました。仮想空間上に「NISSAN CROSSING」を再現するにあたり、この実在のギャラリーを忠実に三次元化。新車発表会や講演などの催しはもちろん、実際の自動車のデータを元に作ったハイクオリティーな3D自動車を公開し、お客様との新たなコミュニケーションの場として展開しました。実際にギャラリーに行く前の下見や「気になるけれどショールームが遠くて行けない」というユーザーに、効果的にアプローチができるマーケティング事例です。
4-6.小売出典:ニトリバーチャルショールーム
ニトリは公式通販サイト「ニトリネット」において、実際の店舗にいるかのような臨場感で買い物ができる「バーチャルショールーム」を開設し、新たなカスタマー・エクスペリエンスの創造に挑戦しています。自宅にいながらニトリの店舗で買い物をしているような体験ができるバーチャルショールームでは、商品に近づいてサイズを測ったり、気に入った商品をそのまま購入したりできます。そのため、店舗が近くにない方にもニトリでの買い物を楽しんでもらえます。
4-7.不動産出典:東急不動産
東急不動産は、複数人が同時に参加できるモデルルームをブランズシティ湘南台マンションギャラリーにて公開しました。こちらのVRモデルルームはVR企画制作を行うハシラス社のVRソリューションである「キネトスケイプ」を活用しています。これまでのVRモデルルームは体験人数が1人に限定されていましたが、こちらのソリューションを活用することにより、複数人で同時にVRを視聴することが可能になり、家族と会話をしながらのリアルな内見さながらの体験をすることが可能です。
4-8.体験施設出典:コニカミノルタVirtuaLink
最大8Kの高解像度映像シアターがある、コニカミノルタプラネタリア TOKYO。東京でプラネタリウムを見るならここといった定番施設です。こちらでは、通常のプラネタリウムの他に「コニカミノルタVirtuaLink」というVRアトラクションがあり、最大24名まで360度3D映像のバーチャル空間を同時体験できます。なお、プラネタリウムで上映していた作品をDMM VR動画で販売し、ご自宅で本格的なプラネタリウム作品鑑賞も楽しめます。
4-9.美術館出典:IJC MUSEUM 公式サイト
こちらは、仮想空間にCGで作り上げたバーチャル美術館。訪日外国人向けに作られており、日本を代表する現代アーティストの作品を紹介しています。総勢7組のアーティストの作品が展示され、MAPを表示させると見たいアーティストのフロアへと移動できます。さらに特徴的なのは、作品自体を自分の見たい角度に動かして鑑賞ができること。現実では見られない角度から作品に触れられるのはバーチャル空間ならではです。
5.まとめ
あらゆる業界でのマーケティング活動に使われているVR。商品やサービスのリアルな魅力を訴求することで、購買意欲の向上や、検討から購入までの期間を短縮する効果が期待できます。また、VRによるマーケティングには、ブランドと顧客とがバーチャル世界で唯一無二のリアルな体験を共有できるという、他にはない手法であることがわかります。トランスコスモスでは、マーケティングにおけるAR/VRやメタバース活用について、企画から制作・運用までサポートしています。ぜひお気軽にトランスコスモスまでご相談ください。