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α世代とは?定義や特徴、マーケティングのヒントを解説

今、マーケターの注目はZ世代に集まっています。しかし、Z世代に次いで、10年後の消費の中心を担っていくのが「α(アルファ)世代」です。多様性や自分らしさを重視するZ世代とはまた違う「α世代ならでは」の価値観が育ってきています。

本記事では、今なぜα世代に目を向けるべきなのか?α世代の定義や特徴だけでなく、調査結果から見えるα世代の実態やマーケティングのヒントまで解説していきます。

α世代(ジェネレーションα)は、2010年以降に生まれた世代を指す名称で、オーストラリアの世代研究者マーク・マクリンドルによって2005年に提唱されました。
α世代はミレニアム世代の子供にあたる世代であり、生まれた時からスマートフォンやタブレット、生成AI(ジェネレーティブAI)5G通信などのデジタルテクノロジーが日常の一部として普及しており、デジタルデバイスを自然に活用できるのが特徴です。先行する世代と比べて、デジタルテクノロジーに対する適応力がさらに高いことから、デジタルネイティブと呼ばれます。

Z世代よりもさらに進んだデジタル環境で生きてきたα世代ですが、これまでの世代とは大きく違った特徴について注目されています。ここからは、α世代の特徴について解説していきます。

2-1.新しい学習指導要領による教育

α世代の特徴を知る上で、まず知っておきたいのが「教育の変化」です。近年、グローバル化やスマートフォンの普及、ビッグデータやAIといったITの活用などによる技術革新が進んでいます。社会の変化が激しく、未来予測が困難な時代を生きていくため、2020年度以降に新しい学習指導要領が始まりました。

新しい学習指導要領の実施新しい学習指導要領の実施時期
小学校2020年度から
中学校2021年度から
高等学校2022年度から

新しい学習指導要領では、外国語教育やプログラミング教育、SDGs教育などが充実し、小学校ではプログラミング教育が必修化されます。

2-2.親子ともにデジタルネイティブ

α世代の親の多くは、1980年代~1995年頃に生まれたミレニアル世代です。ミレニアル世代は、インターネットの誕生や発展とともに成長してきた世代であることからデジタルリテラシーが高く、デジタルデバイスやオンラインツールを使いこなすことができます。そうしたミレニアル世代の親から教育を受けるα世代は、幼少期から親子でデジタルデバイスに慣れ親しんでおり、デジタル教育も十分にされています。そのため、親子でデジタルネイティブであることは、この世代ならではの新しい特徴といえるでしょう。

2-3.真のデジタルネイティブ

α世代は、生まれた時からデジタルテクノロジーが日常の一部として存在する世界に育っています。そのため、真のデジタルネイティブとして、先行する世代よりも遥かに自然にデジタルデバイスやサービスを取り入れ、使用する能力を持っています。
自我が芽生える幼少期からスマホやタブレットを当たり前に使いこなし、SNSやオンラインゲームも身近な世代です。また、学校教育でもタブレットを用いたオンライン授業やプログラミング教育など、高度なデジタルリテラシーを身に付けています。

2-4.オンラインやメタバース上での価値を重視

α世代は、Z世代が経験したよりもさらに高い技術を駆使したインターネット空間に触れながら育つことが予測されます。また、SNS上でのライブ配信やオンラインゲーム、eスポーツなどにも慣れ親しんでおり、近年ではメタバース空間で自分を発信できるような場も増えています。
メタバースではアバターを操作して他者と関わることが多いため、現実世界での人との関わり方や価値観も変わっていくことが考えられるでしょう。それ以外にも、支払い方法はスマホを使ったキャッシュレスが主流であるなど、消費行動にもα世代ならではの特徴があります。また、α世代は現金などの手で触れられるモノと関わる機会が少ないことから、オンライン上やメタバース上での価値をより重視するようになるでしょう。

2-5.コミュニケーションツールや制作欲求としてのゲーム

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「α世代、オンラインゲームとの付き合い方」調査によると、α世代の4割強がオンラインゲームを実施。遊び相手は学校の友達や兄弟姉妹、低学年は親とも遊んでいます。
また、α世代にとってオンラインゲームは「コミュニケーションツール」。オンラインゲームは公園と同じく友達と集まる場所で、ZoomDiscordLINE通話などでおしゃべりしながら遊んでいます。また、ゲームを遊ぶだけでなく、自分で作ってみたいと感じている小学生は約7割に及び、内4割は実際に制作経験があると回答しています。

2-6.タイムパフォーマンス重視

ビジネスではコストパフォーマンスという概念がよく使用されますが、α世代が重視するのはタイムパフォーマンス(タイパ)です。
SNSでの即時の反応やリアルタイムの更新が当然の環境で成長しているため、情報やサービスを受け取るスピードの速さを当然のものとして期待しています。α世代は、限られた時間の中でどれだけ楽しさや便利さを享受できるかということに重きを置いており、たとえば動画の中でもショート動画を好む傾向は、Z世代よりさらに強まっているといわれています。

2-7.動画や画像で情報収集

α世代はインターネット上での情報収集が当たり前で、文章よりも動画や画像で情報を収集している傾向があります。
たとえば、メイクに関して調べたいと思った時は、有名なインフルエンサーの動画を見たり、モデルのInstagram投稿を見たりして情報を集めます。文章よりも情報量が多く、活用しやすいため、動画や画像での情報収集を好むのです。

2-8.多様性・ダイバーシティへの理解

α世代は、オンライン上で世界中の人と繋がり、SNS上でさまざまな情報や価値観に触れて育っています。そのため、自分だけの考えに固執せず、各々の考えや価値観を重視し、個人が望む生き方や自分らしさを大切にします。また、インターネットや学校教育を通じて、幼い頃から人権問題、社会情勢、SDGsなどについて触れるため、社会問題に対する意識が高いことも特徴のひとつです。

α世代の特徴について紹介しましたが、より理解を深めるために、電通マクロミルインサイトが行った「α世代についての自主調査」結果の一部をご紹介し、α世代の実態について深堀していきます。

3-1.α世代の約4割がスマホを保有

出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」
■自分専用のメディア機器
α世代の38.5%が、自分専用のスマートフォンを所有していると回答しました。家庭用テレビゲーム機も約半数の55.3%が自分専用として保有しています。

3-2.α世代はゲーム利用率が高い

出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」
■休日のメディア平均利用時間
休日に接触するメディアとしては、トップ3は次のような結果になっています。
1位:テレビ(66)
2位:ゲーム機・PCでのゲーム(63)
3位:スマートフォン・タブレットでの動画視聴(43)
テレビの視聴時間は、シニア世代と比べると約半分程度ですが、それでもまだ一定の時間接触しているメディアとして、テレビの存在はα世代にも影響力があるといえます。また、α世代の特徴として、ゲーム機・PCでのゲームの利用時間が他世代に比べて多いことが挙げられます。

3-3.利用SNSはYouTubeの一人勝ち

出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」
■普段使っているSNS
α世代の役7割がSNSを利用しており、その内訳としてはYouTube63.0%と圧倒的です。年齢制限が設けられているSNSが多いため、当然の結果でもありますが、次点のLINE2倍以上の差があります。
対して、中高生や大学生以上のZ世代になると、YouTube以外にInstagramX(旧twitter)、LINEと、さまざまなSNSを複合的に活用している様子が読み取れます。

3-4.α世代も親と一緒に「推し活」している

出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」
■推し活実施率
今話題の推し活は、α世代でも17.5%が行っているという結果でした。α世代の子供と一緒に取り組んでいる親世代は10%前後。友達のような親子関係を築く家庭が増えているという意見もありますが、この結果からもその傾向を見て取ることができます。
また、α世代の親世代は、男性の11%が自身で推し活をしていますが、その内9%は親子で推し活をしています。子の影響を受けたのか、親が子に影響を与えたのかは調査結果だけではわかりませんが、親子間でかなりの影響を与え合えていることが見て取れます。

3-5.α世代の30%がYouTuberに影響を受けている

■α世代の好きな有名人
(出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」)

Z世代(中高生)の好きな有名人
(出展:電通マクロミルインサイト「α世代についての自主調査」)
α世代は30%、Z世代は10%ほどが「YouTuberから影響を受けている」と回答しています。
推し活の対象としても、Youtuberに代表される配信者・インフルエンサーは多く回答されており、SNSに慣れ親しんでいる様子が垣間見えます。

現時点での消費行動は親が選択・介在している場合が多いα世代ですが、今後10年もすればα世代が消費の中心となり、マーケティングの主戦場がメタバースに移る可能性があるともいわれています。今からα世代の特徴を踏まえた上で、α世代へのタッチポイントを増やしつつ、マーケティングやブランディング活動を行っていくことが重要になります。

4-1.オンライン上のコミュニケーション

バーチャル空間に好意的なα世代は、オンライン上における交流にも抵抗を示しません。SNSやオンラインゲームをはじめ、メタバース上にアバターを作成し、友人だけでなく世界中の人たちと交流することが可能となりました。α世代は、対面経験のない他人であっても、オンライン上でナチュラルにコミュニケーションが取ることが可能です。またα世代は3次元でのコミュニケーションが当たり前になりつつあるので、メタバースといった新たなコミュニケーションチャネルでのマーケティングやコミュニケーションを考えるのが良いでしょう。

4ー2.リアルタイムのオンラインイベント

リアルタイムのオンラインイベントを活用するのも、デジタルネイティブのα世代に訴求するためには大切です。オンラインゲームやライブ配信サービスなどを使って、どこにいてもアクセスできるようなイベントを展開しましょう。今後、他社との差別化を図るためには、ただ配信するだけでなく、いかにオンラインイベントとしての充実度を高められるかが重要になってくるでしょう。

4ー3.現物が存在しない商品

すでに、リアルとバーチャルの境目を持たずに生きているといわれるα世代。メタバース上での商品体験にも抵抗がありません。そのため、デジタルファッションやNFTアートなど、現物が存在しない商品に価値を感じるでしょう。
昨今では、デジタルとリアルが連動した取り組みも登場しており、デジタルデータだけで完結していたデジタルファッションに物理的なアイテムがクロスオーバーすることで、新しい価値を生む流れも拡大しています。

4ー4.共創を生み出す体験づくり

企業やブランドが作ったものを一方的に見る、聞く、消費するという関係だけでは満足できないα世代。ゲームやプログラミング、コンテンツ、グッズ、メタバースの運営でも、ファンが関与できるところを提供し、一緒になって共創を生み出す体験づくりを行うことが当たり前になり、そこにビジネスチャンスが生まれていくでしょう。

4ー5.オンラインゲームやSNSが直接的なタッチポイント

これまで解説してきたように、α世代のゲーム利用率は高い傾向です。また、α世代の親世代も子供と同じくらいの時間をゲームしていることが調査からも判明しており、「親子でゲームを楽しむ」「親公認でゲームを行う」といった傾向が強まっています。ゲーム内でのコラボレーションや、ゲーム性のあるマーケティングを行うことが今まで以上に重要になると予測されます。
また、α世代はSNSネイティブです。人気SNSの共通点は、動画や画像といった視覚メディアをうまく活用しています。今後、消費の中心となるα世代に対しては、YouTubeTikTokといったSNSの活用はもちろんのこと、早い段階からブランドや商品・サービスを認知してもらうことが重要になるでしょう。

4ー6.購買に繋げるには「子の興味」「親からの信頼」

α世代は現時点ではまだ幼く、消費の主体となる前段階です。そのためα世代の親世代にあたる「ミレニアル世代」に着目し、α世代・ミレニアル世代の両方へのアプローチを意識する必要があります。電通マクロミルインサイトが行った「α世代についての自主調査」によると、消費行動の中で、「購入するものを親子で一緒に選んでいる」割合が一定数いることが判明しました。選択肢の一つに入るためには、まず子供に興味を持ってもらい、購入決定者である親からも信頼を得ることが重要です。

4ー7.サステナビリティと環境がキーワード

α世代に向けたマーケティングを実施する際には、α世代の購買行動の最終決定権がミレニアム世代にあることを念頭に置いた施策を行う必要があります。ミレニアル世代は、サステナビリティを意識した商品や社会の問題への関心が深い層であると考えられるため、環境に配慮した商品・サービスの提供が好まれます。また、α世代がミレニアル世代の親からの教育を受けていることを考えると、上記のような考え方は今後α世代も持ち合わせていくことが予測できます。

α世代は、Z世代よりもさらにデジタルサービスやSNSに慣れ親しんでいる世代です。α世代のマーケティングにおいては、TikTokYouTubeをはじめとしたSNSの活用が必須となります。また、リアルタイムのオンラインイベントやゲーム内コラボレーション、メタバース上でのショッピング体験などがα世代への訴求方法として重要視されてくるでしょう。
2023年現在、α世代はまだ13歳以下なので経済的に自立していません。現状は親世代であるミレニアル世代への訴求を重視しながら、消費の中心となる510年後に向けて、今からα世代に向けてしっかりとアプローチし、早期にα世代を取り込んでビジネスを拡大させていきましょう。
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