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女性がいきいきと働ける
職場環境を
実現するために

-「女性活躍推進交流会」レポート-

コープみらい・コープデリ連合会×トランスコスモス

千葉県、埼玉県、東京都で事業を展開する「コープみらい」のほか、いばらきコープ、とちぎコープ、コープぐんま、コープながの、コープデリの計6生協が加盟しているコープデリ生活協同組合連合会(以下、コープデリ連合会)様。トランスコスモスが同会のコンタクトセンター運営をご支援するようになったのは2008年からでした。コープデリ連合会様は、2021年から女性職員の皆さんの活躍を推進するプロジェクトに取り組まれています。2024年1月19日に、そのプロジェクトメンバーの皆さんと、トランスコスモスの女性メンバーによる「女性活躍推進交流会」が開催されました。その模様をレポートします。

女性の定着率と管理職割合を
いかに高めていくか

コープデリ連合会様がコンタクトセンターを運営するようになったのはいつからですか。

香西2008年です。それ以前は、各生協の宅配センターがお客様からの連絡の窓口だったのですが、情報の一元管理が必要であるという内部の議論を受けて、沖縄にコンタクトセンターを設け、窓口を一元化しました。現在は、電話注文、新規加入申し込み、組合員サポートなどをすべてコンタクトセンターに集約しています。

トランスコスモスのコンタクトセンター支援が始まった時期を教えてください。

沖縄にコンタクトセンターが開設されたタイミングで電話受付業務などを支援させていただくようになりました。その後、支援領域が拡大し、Webチャットやアウトバウンドコール、新規顧客向けのオンライン説明会をはじめとする営業支援など、多岐にわたる業務を現在はサポートしています。

現場で働いているメンバーは女性が多いのですか。

嘉数コンタクトセンター事業は女性が多いのですが、沖縄のセンターはとくに多いですね。コープデリ連合会様を担当しているオペレーターと管理者の84%が女性です。既婚者の比率も高く、オペレーターの88.3%、管理者の56.0%が家庭をもっています。

コープデリ連合会様の女性活躍推進の取り組みについてご説明ください。

圓尾コープみらい・コープデリ連合会では以前から、女性職員の定着率や女性管理職の割合が低いという課題がありました。そのような課題を解決するために2021年秋に立ち上げたのが「Womenいきいきプロジェクト」です。

プロジェクト発足後、22名の女性職員のインタビューを実施し、課題を深掘りして整理しました。その結果、働き続けることの障害となっているのは、「将来が見えないこと」「子育てと仕事の両立に不安があること」「女性特有の体の事情」などであることがわかりました。また、管理職の少なさの要因として「現在の女性管理職が少なく身近にロールモデルがいないこと」「管理職はたいへんというイメージがあること」などがあることが明らかになりました。

そのそれぞれの課題に対して、キャリア面接、研修、交流会、ルール整備、働き方改革などの対策を立てて取り組んだ結果、コープみらい・コープデリ連合会ともに少しずつではありますが、女性職員や女性管理職の比率は着実に向上してきました。

このプロジェクトは主に女性を対象にしたものですが、女性が働きやすく、管理職になりやすい職場は、男性にとっても働きやすい場所であると思います。すべての職員がいきいきと働ける職場を実現するため、引き続きプロジェクトを推進していきたいと考えています。

現時点でのプロジェクトの課題がありましたらお聞かせください。

圓尾プロジェクトが目指しているものを理解してくれている職員はこの2年間でかなり増えましたが、それでも浸透度はまだ事業所によってまちまちです。プロジェクトの取り組みを周知して、女性が働きやすい環境づくりに対する意識を広く浸透させていくことがこれからの目標です。

和田私は宅配事業の領域でこのプロジェクトを推進しています。プロジェクトに取り組む過程で、職員同士のコミュニケーションが深まり、女性職員の主体性が生まれてきたことを実感しています。一方で、交流会に参加した人としていない人の間に意識の差が生じているという実情もあります。そこに課題を感じていますね。

松本私は店舗事業の担当者として、今年度からプロジェクトに参加しています。コロナ禍で新人研修などがリアルで開催できず、同期に会ったことがないメンバーも多くいたので、2年目・3年目研修をリアルで実施しました。今後は、女性職員向けの交流会や研修会を企画したいと思っています。

人材育成と女性活躍推進の
多様な取り組み

トランスコスモスの人材育成と女性活躍推進の取り組みについて紹介してください。

トランスコスモスの事業は人材ビジネスでもあることから、男女問わず人の価値を最大化させることを目指し、これまでさまざまな取り組みを行ってきました。とくに従業員のキャリア支援としては、各種研修、コンタクトセンターの管理者などの認定取得、各人の3年後、5年後を見据えた「キャリアプランシート」を用いた上長とのキャリア相談の対話などがあります。また、個々人の強みや資質を示すデータも活用しています。

ほかに、所属部門を替えることができる社内公募や、次世代を育成する選抜型研修の仕組みなども用意しています。選抜型研修は、外部の教育機関やNPO法人などの協力によって、専門家からの客観的なアドバイスが得られるプログラムになっています。

女性活躍推進に関しては、2015年から「働き方向上プロジェクト」をスタートさせ、5年間で女性管理職比率を1.6倍にするという目標を掲げました。この目標を達成したことで、管理職における女性比率は23%まで上がりました。現在はこれを25%に引き上げることを目指しています。女性が活躍できる環境が確実に整備されてきていると感じています。

圓尾女性は結婚や出産などのライフイベントがあるので、定着率を上げるには早期の段階からキャリア形成支援をしていくことが必要ですよね。

おっしゃるとおりです。トランスコスモスでは、新卒社員、中途社員、契約社員に対し、入社直後の研修の中での動機付けもありますが、入社3年後などキャリアの節目となるタイミングでの研修プログラムもあります。

松本先輩の従業員の皆さんがこれまでどのように働いてきたかを知ることができる仕組みはあるのでしょうか。

社内イントラの「あしあと」というコンテンツがそれにあたります。ロールモデルとなる課長職や現場リーダーが、女性従業員向けにこれまでの経験やメッセージを掲載しています。また、仕事と育児の両立というテーマに特化した「あしあとママ」「あしあとパパ」といったコンテンツもあります。子育てをしながら楽しく働くコツや、育児中の1日のスケジュールなどを経験者に語ってもらっています。

松本先ほどお話のあった選抜型研修によって、女性従業員の皆さんのキャリア意識が変化することもありますか。

ありますね。選抜型研修は、社内の他部門の従業員との交流の場であり、外部のプロ講師からいろいろな助言をもらえる場でもあります。他部門の人たちと話すことで、トランスコスモスに多様な事業領域があることを改めて感じることができますし、プロ講師との対話が視野を広げることにもつながります。そこからいろいろな刺激を受けて、自分のキャリアを今まで以上にしっかり考えるようになる人が多いと思います。

嘉数私も選抜型研修に参加して、意識が大きく変わりました。日々の業務の中では、あらためて立ち止まって自分自身のキャリアを見つめ直す機会はあまりありません。研修に参加することで、普段は会えないような人たちと話をしながら、キャリアについて考えることができたことはとても有意義だったと思います。

外部のプロ講師含め利害関係のない第三者からの助言は、社内の上司の言葉よりも素直に受け止めることができるという傾向もあるようです。自分の欠点はなかなか認めにくいものですし、一方で自分の長所を自覚していない場合も少なくありません。外部の方々から欠点や長所を指摘していただくことで、意識が変わり、行動が変わる。そんなケースはとても多いと思います。

データによる人材活用の最適化

佐野コープみらい・コープデリ連合会では、入職後、5年以内の退職者が多いという現状があります。「今後のキャリアがなかなか見えない」と悩む人が多いことがその要因の1つです。若手の職員がキャリアの見通しをつかむ方法がありましたら教えていただけますか。

先にご紹介したキャリアプランシートは、まさに自分のキャリアを見通すためのツールです。これを半年に一度作成することによって、自分が目標にすることやそれを達成するために必要なことが明らかになります。シートを用いた上司との対話から3年後、5年後のキャリアをイメージできるようになることが、定着率の向上につながると私たちは考えています。

佐野人材活用は、人事担当者や現場の管理職の勘や経験を頼りにしてしまうことがどうしても多くなります。人材の特性や強みを客観的に把握するにはどうすればいいと思われますか。

私たちも自己流のマネジメントを見直し事業戦略に基づく人的資本の最適化が必要と捉えています。そのため人的データを活用したマネジメントに取り組んでいます。データを得るために私たちが活用しているのが、〈360°サーベイ〉と〈プロファイルXT〉です。〈360°サーベイ〉は、本人による自己評価と上司や部下、同僚といった他者評価によって、それぞれの能力やスキル、行動の傾向を整理していくものです。これは人材の特性のうち、顕在化している部分をデータ化する方法と言えます。

一方の〈プロファイルXT〉は、本人も認識していない潜在的な領域の特性を明らかにしていく方法です。全314問の選択式設問に回答することで、「思考スタイル」「行動特性」「仕事への興味」の3要素の傾向が明らかになります。〈プロファイルXT〉の目的は、それぞれの特性をよい・悪い、あるいは数値が高い・低いといったことを示すことではありません。各人の自己理解を促進し、他者との「違い」を「強み」と捉えることができるようになること。それが〈プロファイルXT〉を活用する大きなメリットです。

自分の強みを理解し、それを仕事にいかすことができると、エンゲージメント、自信、目標達成への意向などが圧倒的に高まることがわかっています。一方でストレス、怒り、悲しみといったマイナス要素は減少します。従業員にとっては日々の仕事が充実し、会社にとっては定着率を上げることができるようになります。

〈360°サーベイ〉と〈プロファイルXT〉のデータを活用することによって、勘と経験に依存しない客観的で最適な人材活用が実現する。そう私たちは考えています。

佐野データ活用とフェイストゥフェイスの対話の関係については、どのようにお考えですか。

データは対話のベースになると私たちは捉えています。例えば、トランスコスモスでは「プロファイルXT強み自己紹介」というプログラムを実施しています。これは、3名から4名のチームの中で、自分の〈プロファイルXT〉の結果について説明し、それに対するフィードバックや感想をもらうというものです。データをベースにして仲間と対話することで、相互理解と自己理解を深めることができる。「違い」を「強み」と捉え互いにリスペクトしあえる組織を目指しています。

女性の視点で
組合員サービスを改善していく

今後の女性活躍プロジェクトの取り組みへの意気込みをお聞かせください。

松本店舗事業に携わる立場として、女性の店長・副店長を一人でも多く増やしていくことで、みんなが働きやすい職場を創っていきたいと考えています。それを実現するための活動をこれからも続けていきたいですね。

和田私も同様に、宅配部門の現場でリーダーとして活躍できる女性が増えていくことが、このプロジェクトにおける目標です。そのためには、女性が働きやすい環境を今以上に整備していく必要があると思います。

圓尾先ほど「あしあと」というコンテンツのご紹介がありましたが、いろいろな活躍の事例を広く共有していくことは、職員の意識や行動を変えるための有効な方法の一つだということがよくわかりました。プロジェクトの中で、そのような情報共有の仕組みづくりにチャレンジしていきたいと思いました。

今後、コープデリ連合会様とのパートナーシップをどのように育てていきたいか。最後にそれぞれの想いを聞かせください。

嘉数コンタクトセンターではデジタルによる効率化が進んでいます。しかし、デジタル技術がどれだけ進化しても、人にしかできないことは間違いなくあります。センターの現場における人の価値を上げていくことで、コープデリ連合会様の事業の発展に寄与していきたいと考えています。

コープデリ連合会様の組合員には女性がとても多いと思います。女性組合員の皆さんへのサービスレベルを上げるためにも、コープデリ連合会様、そしてその事業をご支援するトランスコスモスの女性メンバーが活躍していくことが必要であると感じています。また、それぞれの女性メンバーの交流の場をもたせていただくことで、「家庭」と「仕事」の両立をしている女性組合員の皆さんに向けたサービス改善のアイデアが生まれたり、よりよく働くためのヒントを共有できたりするようになれば素晴らしいと思います。「女性」を軸としたパートナーシップをこれからより強くしていきたい。そんなふうに思っています。

※記載の内容・お役職等の情報は、2024年1月取材時のものです。

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