
FAQの有効活用
によって企業の
コミュニケーションを
大きく進化させる
トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス
Vol.15
Proz Answers [前編]
コンタクトセンターと企業の顧客の接点には、電話、メール、チャットなどがあります。また、ウェブサイト上のFAQも重要な接点の1つです。それぞれの接点でのコミュニケーションによってさまざまなナレッジが蓄積していきますが、接点を越えたナレッジの有効活用はこれまであまり進んでいませんでした。それを実現する画期的なソリューションが〈Proz Answers〉です。FAQを軸としたナレッジのマルチ活用を可能にし、企業やコンタクトセンターのコミュニケーションを大きく進化させる〈Proz Answers〉について、このソリューションを開発したProz.の網本信幸氏と、トランスコスモス側の担当者である清水祥之に語ってもらいました。


網本 信幸氏
Proz. 代表取締役


清水 祥之
トランスコスモス CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
サービス開発本部
ナレッジ事業開発課
課長

日本のコンタクトセンターの
進化に寄与したい
はじめに、Proz.の概要についてご説明ください。
網本Proz.は2020年5月設立のスタートアップです。コンタクトセンターで利用できるさまざまな機能をパッケージングした〈Proz Answers〉というソリューションを開発し、提供しています。
Proz.を起業するまでの網本さんの歩みについてもお聞かせいただけますか。
網本もともとはトランスコスモスの社員でした。在籍期間は15年ほどで、そのうち13年はアメリカ支社の事業責任者を務めていました。当時アメリカでは、コンタクトセンターで活用できる新しいツールが次々に開発され、コンタクトセンターの業務を大きく変えていました。一方、日本のコンタクトセンターは、新しいツールやテクノロジーの導入におくれを取っているという印象がありました。最新のテクノロジーを提供して、日本のコンタクトセンターの進化に寄与したい。その想いが起業のモチベーションとなりました。
〈Proz Answers〉とはどのようなソリューションなのでしょうか。
網本コンタクトセンターとエンドユーザーの接点には、電話、メール、チャットおよびチャットボットがあります。また、コンタクトセンターに連絡する前の段階でユーザーが参照するFAQも重要な接点です。これらのうち、電話を除いたすべての接点における業務をサポートし、分析サービスを提供するのが〈Proz Answers〉です。コンタクトセンターの業務をサポートするツールはほかにもありますが、トータルな機能を備えているソリューションは、国内では〈Proz Answers〉だけです。
とりわけ〈Proz Answers〉の特徴的な機能と言えるのが、FAQの作成と運用支援です。特別なスキルがなくても、使いやすいFAQページを作成できること。インターネット検索からFAQページへのスムーズな流れをつくれること。ユーザー向けのFAQで蓄積したナレッジをメール返信、チャットボットの応答、内部FAQなどに活用できること。その3点が大きな差別化ポイントです。
内部FAQとは何ですか
網本現場のオペレーターがユーザーとのコミュニケーション時に参照するFAQのことです。内部FAQを充実させることは、応対品質の向上や応対時間の短縮につながります。
FAQを整備することのさまざまなメリット
ユーザーとのコミュニケーションやコンタクトセンター運営におけるFAQの重要性について、お考えをお聞かせください。
清水エンドユーザーの皆さんが、製品やサービスに対しての困りごとがあった場合、FAQがしっかりとつくられていれば、電話、メール、チャットなどを使わなくても、問題を自己解決することができます。それによって、コンタクトセンター現場も応対件数を減らすことができます。また、業務が効率化することでコストダウンが実現します。これはお客様企業にとって大きなメリットになります。
コンタクトセンターは、ユーザー向けFAQの充実をどのようにサポートできるのでしょうか。
清水コンタクトセンターへの電話、メール、チャットでの問い合わせ内容は、エンドユーザーの困りごとやニーズに関する重要なデータとなります。そのデータをFAQコンテンツづくりに活用することで、より役立つFAQをつくることができます。逆に、網本さんからお話があったように、FAQのナレッジをセンター現場での問い合わせ対応に活用することもできます。〈Proz Answers〉はそのループを効率的に回すことを可能にするツールと言えると思います。
トランスコスモスとProz.はどのように協業しているのですか。
網本トランスコスモスが運営するコンタクトセンターが担う企業案件に〈Proz Answers〉を導入していただくケースと、トランスコスモスとおつき合いのある企業が自社で運営しているコンタクトセンターで〈Proz Answers〉を活用していただくケース。大きくその2つがあります。いずれのケースでも、Proz.とトランスコスモスが共同提案の形でお客様企業に〈Proz Answers〉をご紹介することがほとんどです。
トランスコスモスを退社してからよくわかったのは、トランスコスモスは競合他社と比べてテクノロジーやソリューションに強い会社であると広く認知されていること、それから企業からの信頼度が非常に高いことでした。新しいソリューションでも、トランスコスモスと共同で提案することによって、高い関心をもっていただくことができます。現在、〈Proz Answers〉をご提供している案件のおよそ9割は、トランスコスモスとの共同提案によるものです。
Proz.とのパートナーシップをトランスコスモス側で進めてきた清水さんのお仕事の内容についてもお聞かせいただけますか。
清水コンタクトセンターの運用マネージャーを経て、2021年からは現場の業務改善やサポートツールの運用支援などに取り組んできました。とくに注力してきたのは、センターにおけるナレッジの蓄積と活用です。問い合わせとその応対を通じて得られたナレッジを内部FAQづくりにうまく活用できないかと考え、テキストマイニングツールを使ったFAQの自動生成の方法を試行錯誤してきました。網本さんから〈Proz Answers〉を提案いただいてから、その問題が一気に解決しました。

生成AIの活用によって
進化するソリューション
〈Proz Answers〉の機能自体も進化しているのでしょうか。
網本進化しています。最近の大きな進化は、生成AIの活用によるものです。これまでの〈Proz Answers〉のさまざまな機能を生成AIによって段階的にアップデートしています。先行して実用化したのが、〈Proz Answers GenAI シリーズ〉の〈Proz Answers GenAI FAQジェネレーター〉〈Proz Answers GenAI Smart AI Assistフォーム〉〈Proz Answers GenAI AIエージェント〉の3つです。
多くの企業はFAQのつくり方で悩んでいらっしゃいます。よく見られるのが、新しい製品やサービスのリリースに合わせて、顧客からの問い合わせがあると想定される項目をリストアップしてFAQをつくるケースです。また、リリース後にコンタクトセンターに寄せられた問い合わせの内容すべてに目を通して、その内容に沿ったFAQをつくるケースもよくあります。
前者の場合、FAQの項目はあくまでも想定に基づいたものなので、顧客のニーズに合致しているとは限りません。つまり、無駄が発生する可能性もあるわけです。後者の場合、実際に役立つ可能性が高く、かつ網羅性のあるFAQをつくることが可能ですが、たいへんな手間がかかります。
そういった問題を解決できるのが〈Proz Answers GenAI FAQジェネレーター〉です。これは、コンタクトセンターへの問い合わせとそれに対するオペレーターの回答をAIに学習させ、FAQを自動生成させる機能です。無駄がなく、網羅性が高いFAQを、手間をかけずにつくることができます。
生成AIが作成するFAQは、そのままで活用できる水準のものなのでしょうか。
網本かなり高い精度でFAQをつくってくれます。もちろん人間の目による検証は必要ですが、まったく手直しなしで使えるものも少なくありません。ある企業の例では、数百通のメールのやり取りを生成AIに学習させてFAQをつくらせたところ、およそ8割はそのまま使えるクオリティでした。
〈Proz Answers GenAI Smart AI Assistフォーム〉と〈Proz Answers GenAI AIエージェント〉についてもご説明ください。
網本〈Proz Answers GenAI Smart AI Assistフォーム〉は、ユーザーがメールフォームに問い合わせ内容を書き込んでいるときに、その内容をAIがリアルタイムで解析し、間違いなく解決できると判断した場合は、その場で問い合わせに対する答えを提示する機能です。これによって、コンタクトセンター側のメール対応業務を減らすことができます。
もっとも、答えの提示は慎重に行わなければなりません。メールで文章を書いている最中に「余計な横やりが入った」という印象を与えてしまうと、CX(顧客体験)を下げてしまうことになるからです。「この答えが解決になるかどうかわからない」といった場合には、答えの提示を差し控える設定にしています。
3つ目の〈Proz Answers GenAI AIエージェント〉は、チャットボットによる返答をAIが自動で生成する機能です。これまでのチャットボットは、質問に対する想定回答を大量に用意する必要がありました。しかしこの機能を使えば、質問への答えをAIがそのつど文章化し、自動で対応してくれます。
この機能を利用されるお客様企業の立場から見れば、懸念点もあると思います。生成AIが間違ったこと、あるいは顧客に対して失礼にあたる答えを返してしまうのではないかという懸念です。それについては徹底的な制御をかけています。AIが答えを出せない場合は「わかりません」と回答し、有人チャットやメールでの問い合わせに切り替えていただく仕組みになっています。
生成AIには大きな可能性がある一方で、リスクも指摘されています。〈Proz Answers〉における生成AI活用にはどのようなリスクがありえますか。
網本現在指摘されているような生成AIのリスクは〈Proz Answers〉には該当しない。そう考えています。生成AIのリスクとしてしばしば言及されるのは、ハルシネーションと著作権の侵害です。ハルシネーションはご存じのように、AIが誤った情報をあたかも正しい情報のように伝えてしまうことを意味します。その回避方法が、まさに〈Proz Answers GenAI AIエージェント〉に採用している制御技術です。完全に正しい情報が出せない場合は「わかりません」と答えさせることで、誤情報の伝達を防ぎます。
著作権の侵害は、AIの学習データを制限することで回避しています。〈Proz Answers〉においてAIが学習するのは、お客様企業が保有する問い合わせ、応答、メール、FAQなどのデータのみです。そのデータの権利はすべてお客様企業に属するので、外部の著作物の権利を侵害することは100%ありません。
清水トランスコスモスも生成AI活用のポリシーを細かく定めていて、日々アップデートを行っています。そういったポリシーと〈Proz Answers〉の仕組みを組み合わせることで、リスクはすべて回避できると考えています。
※記載の内容・役職等などの情報はすべて取材(2025年4月)時点のものです。
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